脳神経と薬学の専門家に聞いた「ダイエット」のための漢方薬選び。ストレスにも配慮を。
イラストレーション・宇和島太郎 文・馬場さおり
【ダイエット】食べすぎの防止、ストレスによる暴食や、食欲のコントロールに。
<定番>空腹によるどか食い防止に効果的な漢方薬。
肉体労働が主流だった昔。体をたくさん動かすため、仕事後はお腹が空くのが当たり前。なかでも胃腸が強い人は、その空腹感から脳が満腹感を得る前に早食い・大食いしてしまいやすく、そういった人のダイエット漢方薬として『防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)』が活躍していました。
元々、『防風通聖散』は体の中の良くないものを排出する力が強いと言われ、ひどいできものなどに使われていたもの。
実際に、便秘薬に使われてる下剤成分を含む大黄や、交感神経を興奮させて食欲を減少させる作用や代謝を高める作用が期待される麻黄が処方に入っているため、「胃腸は強いけれど、毎日接待を受け便秘気味だ」という人に適した漢方薬です。
<でも、こんな場合は>「空腹でもないのに食べてしまう、ストレスどか食い。」
脳や神経を使いすぎて食べてしまう、現代人に多いストレスどか食い。コンビニなどで24時間いつでも食べ物が手に入る今。手っ取り早いストレス解消法が食事であり、食べることで副交感神経が働いてストレス状態が軽減されるため、たとえお腹がいっぱいでも食べてしまうのが特徴的。
そんなストレスどか食いに有効なのは、脳と神経を休める『加味逍遙散』。血液の滞りを改善したり、水分の代謝を高めたり、肝臓機能を高めたりとダイエットにうれしい効果がたくさんある漢方薬です。
ただし、なかには神経が疲れておらず、体力がなくて水太り気味という人も。この場合は必要以上に水分を摂っている可能性が高いため、水分の代謝を高める『防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)』を活用しましょう。
<ダイエットには>購入できる漢方薬
防風通聖散(JPS漢方顆粒-45号)/ジェーピーエス製薬
近年、肥満症の治療薬として注目されている漢方薬であり、体力がある人向け。特にお腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな人に適しており、高血圧にともなう症状にも効果があります。※取扱店にて必要日数分を販売。
「クラシエ」漢方加味逍遙散料エキス顆粒/クラシエ薬品
肩こりやめまい、頭痛がするなどのほか、のぼせや発汗、イライラ、不安などの不定愁訴といわれる様々な不調に広く用いられる漢方薬です。精神神経症状にも活用されており、神経を酷使している現代人向け。
防已黄耆湯エキス錠N/ ジェーピーエス製薬
水分代謝が悪く、余分な水が体にたまりやすい人向きの、むくみを取る漢方薬です。肥満症の薬として注目されており、筋肉が柔らかく、特に下半身がむくみやすい、いわゆる水太りタイプの人に適しています。
『Dr.クロワッサン 不調が消える、ふだん漢方』(2020年1月28日発行)より。