女性ホルモンの変化によって体調はどう移り変わる?
文・韮澤恵理 撮影・黒川ひろみ イラスト・ノグチ・ユミコ
[ 年齢によるホルモン量の変化 ]
(1)体が成長する時期。女性ホルモンはまだ分泌されていないので男女差はない。
(2)初経を迎え、女性ホルモンの分泌が始まり、次第に活発に。体が女性らしくなる。
(3)最も女性ホルモンの分泌が盛んな時期で、妊娠、出産が可能になる。
(4)徐々に女性ホルモンの分泌量が減少を始める、「プレ更年期」。
(5)急激に女性ホルモンの分泌量が減っていくのが更年期。月経が不順になり、閉経を迎えると女性ホルモンの分泌量はゼロに近づく。
(6)体を守る女性ホルモンの分泌がなくなり、一気に不調にさらされる。骨粗しょう症や動脈硬化、脂質異常症などに注意!
【女性の生活史】
女性ホルモンとともに人生は移り変わる
女性は一般的に12歳前後で初経を迎えます。それまでは性ホルモンの分泌はないので、成長も体型も男女の違いはありません。女性ホルモンの分泌が始まり、月経を迎えると、体型や体調に変化があらわれます。これが思春期で、その後、性成熟期、更年期を経て老年期へ向かいます。
[ 思春期 ]
卵胞刺激ホルモンの分泌が始まり、同時にエストロゲンも分泌され始め、次第に活発になっていきます。それに伴って乳房がふくらみ、全体に女性らしい体型へと変化していきます。
[ 性成熟期 ]
女性ホルモンの分泌が盛んになり、卵巣の機能が安定してくると、妊娠が可能な時期に入ります。この時期は普通40代前半までですが、30代の後半には、女性ホルモンの分泌量が減り始め、妊娠能力が落ちてくるので、この頃からプレ更年期ともいわれます。
[ 更年期 ]
40代の前半から急激に女性ホルモンの分泌量が減っていきます。更年期とは、閉経をはさんで前後5年くらいずつですが、実際には閉経を迎えて、はじめて更年期がいつだったのかが正確にわかるわけです。閉経の平均年齢は50・5歳といわれているので、その前後、45~55歳くらいが更年期といえるでしょう。女性ホルモンは生殖器だけでなく、全身のさまざまな部分に影響しています。そのため、更年期による不調は、症状も程度も個人差があります。
[ 老年期 ]
更年期を通り過ぎ、女性ホルモンが分泌されない状態が定着すると肉体的には老年期に入ります。
現代では50代の女性はまだ現役でバリバリ活躍していますが、閉経の時期は今も昔も50歳前後で変わりはありません。これは卵巣の寿命が同じだからです。
この年代になったら、更年期症状だけでなく、女性ホルモンに守られていた健康が危機にさらされ始めるので、自覚して対策を立てるのが得策です。
『Dr.クロワッサン 女性ホルモン力で元気に、若々しく。』(2018年4月16日発行)より。