浅野ゆう子さんに、変わらない体型の理由と華やかな美しさの秘密を聞きました。
変わらない体形の理由、そして華やかな美しさの秘密を聞きました。
撮影・森山将人(TRIVAL) スタイリング・角田今日子 ヘア&メイク・持丸あかね 文・室田元美
いつでも新しいものを受け入れる。 変わっていく自分を信じながら。
’80年代後半にトレンディドラマで大ブレイクし、同世代の女性の憧れとなった女優の浅野ゆう子さん。現在もドラマ、映画、舞台で活躍中。刑事役から時代劇のお局役、最近では母親役など幅広い。カメラの前に立った時のスッとした立ち姿。トレンディ時代と変わらない印象の浅野さん、素顔はどんな人なのだろう。
「ずっと走り続けて、楽しくて一生懸命でした。どの役も大切に演じてきたつもりです。いま振り返ってみると節目、節目で私に合った作品や役をいただいてきたんだなぁと実感しています。ありがたいですね」
20代当時に演じ、W浅野が社会現象にもなった連続ドラマ『抱きしめたい!』、そして浅野さん主演の『ハートに火をつけて!』。コミカルでおしゃれな役は、いまでも「大好きで、いとおしい思い出」と話す。
宮尾登美子さん原作で、降旗康男さんがメガホンを取った映画『藏』は女優として大きく羽ばたく契機に。
ドラマ『大奥』のシリーズで演じたのは、大奥総取締役の瀧山。迫力と存在感を植え付け、時代劇や大河ドラマなどの出演が増えていった。
「『細雪』の長女、鶴子役もそうでしたが、強い女の役をいただくことが多いですね。鶴子は夫にも妹たちにもすごく偉そうで、厳しく当たる女性なんです。じつは私自身、そういうイヤな女、悪役を演じることは好きなんです。だって、人間の面白みに触れられますから」
浅野さんは思い切って「自分らしい鶴子を演じさせてほしい」と演出家に掛け合ったという。もともとの鶴子は船場育ちのお嬢様の上品さを強調したおっとり口調。けれども観客により鶴子を身近に感じてもらいたくて、話し言葉を小気味よいテンポに変えるなどの工夫をして、自分が演じたい鶴子に挑んでみた。
「観てくださった方に、楽しかったわ!と言っていただいて。わがままだったかもしれませんが、役を自分に引き寄せるという経験をしました」
年齢には抗わず、無理しない。自分らしくつき合っていく。
仕事とプライベートをきっちり分けているせいか、浅野さんの素顔は意外と知られていない。
「家にまで仕事を持ち込むことはないですね。スイッチを切り替えて解放感に浸って、家族との時間を楽しんだり、好きな小説を読んだりして過ごすことが多いです」
うまくいかないことがあって落ち込む日もあるけれど、引きずらない。終わったことを悩んでも仕方ないと思うようにしているそうだ。
「後ろを振り返らないって言えば、かっこいいんでしょうけれど。たぶん根っから楽天的なんでしょうね。何とかなるという性格なんです」
何とかなる、という気持ちで生きていれば、一歩踏み出すこともできる。その最たるものが結婚だったかもしれない。2年前に浅野さんはパートナーと結婚生活を始めた。
「もともと結婚願望はありませんでした。ひとつの空間で他人と暮らす想像ができなくて。ずっと気ままに一人で生きてきましたから。なので、最初は不安もありました」
一人の時には「適当だった」食卓に、肉か魚、野菜、味噌汁、ごはんを並べる。
「イカフライは油がパチパチ跳ねますから、怖いですよ。ゴーグル、手袋、マスクをつけて挑むんです(笑)」
変化を受け入れ、何でも面白いと思えるようになった50代。
「いくつになっても人は変わることができると思いましたね。二人でいると私が知らない、違った視点でものを観ることができて新鮮です」
年齢には抗わない。生物として当たり前のことだと浅野さん。
「上手に受け入れたい。その上で、どう自分らしく年を重ねていくのかが大事ですよね」