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「小麦粉を2週間やめる」
グルテンフリー・ダイエットの正しいやり方。

糖質のうち、麦入りの食品を控える、いわゆるグルテンフリー・ダイエット。我慢もいらず、便秘解消、美肌などの効果も。管理栄養士の伊達友美さんに正しい糖質とのつきあい方を聞きました。

糖質で太るのではなく、過剰なのは小麦

「自分が何を食べ過ぎて太ったのかわかっていないことが、ダイエットを成功できない一番の問題」

そう話すのは管理栄養士の伊達友美さん。これまで多くの女性を健康的なダイエットの成功に導いてきた。

「栄養士は食事を見て、その人に過剰なものと足りていないものを指摘します。皆さんも、1週間ほど自分の食べたものをメモしておいて、糖質と言われるものの中で何を多く食べているか分類してみましょう。写真に撮っておくのもいいですね。たぶん明らかに小麦の摂取が多いはず。私は日本人が太った理由は小麦だと思っています」

米の消費量はここ70年で半分以下になっているにもかかわらず、肥満と糖尿病は激増。敬遠されがちな砂糖よりも、あらゆる食品に使われる小麦の摂取量が多い可能性もあるという。

「『食べ過ぎているものを減らす』のがダイエットの基本。だから、私がおすすめするのは、「糖質の中で、小麦をやめてみる」という方法なのです」

小麦をやめることで代謝の上がる体にリセット。

「糖質とひとくちに言っても、米、パン、麺類、砂糖、果物などさまざま。異なる食品ですから、含まれる栄養素も消化・吸収のしやすさもそれぞれ違います。糖質制限上は吸収して血糖値が上がりやすいかどうかが問題とされますが、栄養学上は体内でどれだけ代謝するかを考えます」

パンなどの小麦の加工食品は体内で分解されにくく体を冷やす性質があり、栄養の吸収を悪くして代謝が下がりやすくなる。一方、米は原形そのままの食品で消化がよく、体を冷やしにくい。エネルギーとして消費され、脂肪になりにくい性質がある。

「そもそも『米は太る』と思い込んでいる人が多いけれど、まったくの誤解。これまで多くの方に食事指導をしてきましたが、女性で米を食べ過ぎて太ったという人は2人しかいません」

逆に、食べ足りていないことで痩せないケースが、ダイエットに気をつけている女性にはとくに多い。そこに隠されているのは代謝の問題だ。

こちらはNG食材。小麦の摂り過ぎは 太るだけでなく、 体調不良の原因にも。
こちらはNG食材。小麦の摂り過ぎは 太るだけでなく、 体調不良の原因にも。

糖質制限が本当に合っている?量より質の見直しを。

糖質(炭水化物)が体に必要な五大栄養素のひとつだということも忘れてはいけないと伊達さん。

「五大栄養素のうち、いずれかの栄養素を極端に減らすとそれを補おうとして他の栄養素の負担が大きくなり、全体的な働きが落ちてしまいます。『糖質をゼロにしてもたんぱく質さえ摂っていれば、ケトン体を生み出すから問題ない』と言われていますが、それはいわば非常用の持ち出し袋から乾パンを食べ続けるようなもの。ずっとそんな食事でいいのかということです」

糖は腸内細菌のエサになるので、まったく摂らないと便秘になったり、不眠につながることもあるという。極端な糖質制限が不調の原因かもしれない。

「糖質制限がいいか悪いかではなく、その人に合うか合わないか。40代50代の女性の多くは糖質を摂り過ぎていないし、体に与える影響を考えても、それをゼロにしてはいけないというのが私の持論。大事なのは、糖質の量の問題ではなく、質の問題です」

海外ではグルテンフリーと言われる、注目のダイエット法。

心がけるのは、シンプルな一点。食事の中から小麦食品を抜いて、他の食品を選ぶようにする。伊達さんによると、食べる量については、まずは気にしなくてもいい。ここで大事なのは糖質の摂取量を制限するのではなく、小麦を別のものに置き換えることだ。

同じ方法が欧米では、アスリートやモデルが実践していることで広まったグルテンフリーというダイエットで知られる。日本でもこの言葉を聞くようになってきた。グルテンとは小麦、大麦、ライ麦に含まれる粘り気のあるたんぱく質のこと。これを抜くことで痩せるだけでなく美肌やアンチエイジングにつながるとして注目されている。

「グルテン過敏症などのアレルギーでなく、ダイエット目的のグルテンフリーの場合、あまり神経質にならずに取り組むといいですね」

むくみやだるさが消え、見た目がすっきりする。

では、どのくらいの期間、小麦を抜くのか。抜くことで、どう変わるのか。

「まずは2週間、主食の小麦を置き換えてみましょう。個人差はありますが、むくみが抜けたり、お通じが改善する方が多く、2週間で何かしらの変化を感じることができると思います。肌のくすみや体のだるさがなくなることも。小麦を抜いた方は見た目がすっきりした感じになるのがよくわかります」

その際、注意することがひとつ。

「体重計の数字に一喜一憂しないこと。パンは水分を焼いて飛ばす乾燥食品。逆にごはんは水で炊いて水分を含ませる食品。だからこそ食べて満腹感が得られ、水分が増えると体重は増加します。でも、それは一過性のこと。脂肪が燃えるのはその後の話です。私がダイエットとリバウンドを繰り返してわかった結論は、『ダイエットは数字ではない』ということ。それより『どう見えるか』が大事。『お通じは? むくみは?』。毎日体重計に乗るより、体の声を聞いてみましょう」

『クロワッサン』929号(2016年7月25日号)より

●伊達友美さん 管理栄養士、日本抗加齢医学会認定指導士。これまでに5000人の食事を指導。近著に『お金が貯まるダイエット』(丸山晴美さんとの共著/マガジンハウス)

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