【髪を育てる洗い方】髪が生えやすい土台作りのための洗髪と心得て。
撮影・天日恵美子 文・小田芳枝
ヘアケアの基本は、まず洗髪。というと、毛髪をきれいにするイメージを持つ人も多いが、実は一番大切なのはその土台となる頭皮、と本山典子さん。
「シャンプーをするのは、髪が生えやすい土台を作るため。その一番のポイントは予洗い。なぜかというと、いきなり髪にシャンプー剤をいくらつけても泡は立たないんです。いかに先に湯で汚れを浮かせて泡が立ちやすい環境を作るか、が大事になってくる」
その前準備として、最初にきちんと頭皮にブラシを当ててブラッシングをする。そうすることで汚れが浮き上がりやすく、固まった頭皮の筋肉がほぐれやすくなるのだ、という。
「せっかくよいシャンプー剤を使うのであれば、しっかり予洗いをしてからが鉄則。そこが抜けている人がとても多い。空気を含ませてフワッとした泡が髪に当たるだけで汚れは浮くので、ごしごし洗う必要はなくなります」
すると、頭皮や毛髪を無駄に擦って負荷を加えることもなく、余分なシャンプー剤を使うこともなくなる。髪を育てる“畑”である頭皮を、いかに健やかに“耕す”かがきれいな髪への近道に。
STEP1.ブラッシング
ブラッシングというと、髪をとかすことばかり意識する人も多いけど……。
「頭皮にブラシを丁寧に当てることもブラッシングです。まずは耳の上、側頭部のあたりからブラシを当てたら、そのまま斜め上方向へと動かして。下の方向へと動かして生えている髪をとかすのではなく、頭皮をほぐすように意識してブラッシングしてください」
詳しい方法は、頭皮ケアの項目にて。まずは頭皮にフォーカスして汚れを浮かすブラッシングから始めよう。
STEP2.予洗い
洗髪を始めたら、まずは頭皮と髪を湯で洗う〈予洗い〉に時間をかけよう。
「予洗いの時間は童謡を目安に。一曲30秒ほどの〈チューリップ〉や〈どんぐりころころ〉などを2回、鼻歌で繰り返すと1分になります。シャンプーを泡立てるのに割いていた時間をぜひ予洗いにあててほしい。ざっと濡らしてすぐシャンプー剤をつける人が多いけど、なかなか泡立たず量をたくさん使うことに。すると痒みやフケが出たり、抜け毛の原因になることもある。それも充分な予洗いで変わります」
STEP3.シャンプーをつける
シャンプーを濡れた手のひらに取ったら、それを泡立てる際にもちょっとしたコツがあるのだという。
「そのまま混ぜるのではなく、手のひらを合わせ、指の間までシャンプー液を入れて手全体で泡立てるようにしてください。指先までつけて大きく混ぜると、空気がよく入ります。予洗いがしっかりできていると、髪に馴染ませるだけで泡立ちやすくなります」
手のひらにまんべんなくシャンプーをのばし、毛先から中間の髪につけて優しく揉むだけでしっかり泡立つ。
STEP4.洗う
泡が立ったら頭皮全体に広げ、あとはマッサージするように洗う。その際にごしごしこするのは厳禁。
「軽くざくざくと手を入れたら、頭皮を動かすようにしてください。指の腹で頭皮を寄せてニキビを潰すようなイメージです。毛穴の汚れを落とそうと思うと、頭皮をにゅっと押さないと取れにくいので。臭いがしたり汚れているのは髪の毛ではなく、頭皮。シャンプー用のブラシ(上写真)を使うのもおすすめ。たとえば、ジャムレーベルのブラシは頭皮の歯ブラシのような感じで、丁寧に洗えます。そうした道具に助けてもらうのも一つの手です」
CHECK! シャンプーの後は、 何を使ったらよいの?
リンス、コンディショナー、トリートメントはどう違うのだろうか。
「リンスは髪の毛の表面をカバーして、コンディショナーやトリートメントは髪の内部に浸透して修復する働きがあります。より深く内部修復をしてくれるマスクなどもあるので、髪の状態によって使い分けるといいでしょう。トリートメントをした後にリンスをすると、ダブルでカバーしてくれるので、髪の傷みが気になる時に試してみると効果的です」
STEP5.すすぐ
「すすぎはごく丁寧に、シャンプーの倍の時間をかけてください。1分間シャンプーしたら、2分かけてすすぐようにして。髪の毛は自分が思う以上にシャンプー剤を吸収しています」
髪が長い場合、顔を下に向けてシャワーを当てる人も多いが、ある程度流したら上向きになることも忘れずに。
「下向きでシャワーを当てると、髪に逆らって流せるので汚れが落ちやすいんです。ただ、額の上の部分に水が届きにくいので、その後に上からもシャワーを当てるようにしてください」
CHECK! 洗ってすすぐ際に、注意したいのはここ。
丁寧に洗っているつもりでも、いつものクセでつい同じ場所に手がいきがち。そんな心あたりのある人が洗えていないと指摘されるのが、頭頂部、衿足、つむじと並んで耳の後ろのあたり。ここは特に、洗いとすすぎを念入りにしておきたいところだ。
「洗うときに気をつけるのはもちろんですが、耳の後ろは流しも甘くなりがち。特に上からシャワーを当てている人は、額から頭頂部にかけて水を当てているので届きにくい。ごしごしして摩擦を与えるのはよくありませんが、耳の後ろ部分は臭いが発生しやすい部分でもあるので、指を通すようにしてすすいでください」
STEP6.トリートメントをつける
まず頭皮に直接つけない、が原則。
「トリートメントは、毛先を中心につけてください。長い人は特に、手のひらでキュキュッと優しく髪の中に揉み込むようにして。ブラシやコームを使うと、トリートメントが入ると同時に余計な分は落ちていきます。その場合には引っ張りすぎず、髪の間を優しく通すなど、注意が必要です」
STEP7.すすぐ
「せっかく入れた成分が流れてしまうのでは、とすすぎが足りない人が多いのですが、トリートメント後のすすぎもシャンプー時と同じくしっかりと。頭皮を中心に恐れずすすいで」
トリートメントは油分が多いので、背中や顔周りについてしまったら、特に念入りに落とすことも大事。そのままにしておくとニキビなどの原因に。
CHECK! 洗髪はどのくらいの頻度と回数がよい?
「1日おきでちょうどいい。もしそれで気持ちが悪いという場合は、泡が立たないジェル状のドライシャンプーを取り入れるという方法も。頭皮につけて揉んで、ブラシがあればそれを使って。私は泡のシャンプーの日とそうでない日を作っています」
毎日のシャンプーは頭皮脂の過剰分泌につながったり、逆に取り除きすぎて乾燥肌になる可能性も。
「3日おくと菌が繁殖してしまうので、2日をマックスにドライシャンプーを取り入れながら、がおすすめ。シャンプーの回数は1回で。汗をかいたときには2度洗いしてもよいですが、すすぎをいつもより丁寧に心がけて」
『クロワッサン』1120号より