掃除・洗濯・朝ごはんを28分で済ます。本間朝子さんの超時短術。【洗濯編】
撮影・清水朝子 文・寺田和代
家事が不得意だったからこそ、無理なく効率的にはかどる時短テクニックを次々に考案してきた本間朝子さん。苦手意識を持ちがちな夏の家事のイメージを一転させるアイデアの数々も、同じ発想から生まれたという。
「暑くてつらいと思うと家事はますますストレスに。活動しやすい朝の時間や暑さを味方につければ、夏こそ家事を短時間でラクに終わらせることができる季節です」
コツは大きく3つ。ひとつめは暑さを逆手にとった家事の効率化。
「まず洗濯。晴れた日なら室内でも3時間程度で乾きます。短時間で乾けば室内干しのにおいの心配もない。家事動線を短くし、効率が高まります」
暑さで火を使いたくない時も、冷蔵庫に用意したコールドミールを活用すればおいしい朝ごはんができる。また、涼しい時間に集中して一気に家事が片づけば、一日をより有効に使える。
「家族が起きだす前に終えれば埃も立たず、雑事で家事がこま切れになることもありません。少ない時間と労力で成果を最も実感できるでしょう」
環境を快適にするのも工夫次第。
「試してみることが大切。夏だからトライできることがたくさんあります」
[洗濯]こうすべき、という常識や思い込みから自由になる。
1.結果が同じなら省略できることは積極的に省く。
夏に増えがちな洗濯物。干すためのベランダや庭先への移動もたいへん。「終日家にいられる日以外は、夏は部屋干しと割り切っていいと思います。外干しと遜色なく乾きますし、夏に多いにわか雨も気にならなくなります」洗濯物の干し方はこうすべきという常識から自由になって工夫してみる「小物ならかごの縁にかけるだけ、ストッキングはネットに入れたままでもちゃんと乾きます。最初は抵抗感があるかもしれませんが、実際試してみても問題ありませんでした」
靴下、小さめのタオルなど洗濯かごの縁にただ掛けておくだけのちょい干し。
洗濯物干しの省略をテーマに本間さんが考案。夏の晴れた日なら、小物類は洗濯かごの縁に掛けて、窓際に置くだけで、普通に干した時と同じ結果に。ピンチ不要で、干すのも取り込むのも手間いらず。
タオルから珪藻土のバスマットに切り替えて、洗いにくく乾きにくかった大物マット類の洗濯を返上。
浴室やトイレのマット類は洗濯不要で手入れがラクなものに変更。浴室には吸水、速乾性の高い珪藻土のマット。トイレにはサッと拭くだけのビニール製が有効。
ピンチハンガーに干すときは、洗濯物ひとつにつきピンチひとつでよしとする。
両端2カ所をきちんと留めて干すという常識を一旦棚上げし、1ピンチに1アイテムで干してみると、2倍の洗濯物が干せる結果に。夏なら意外と乾いてくれる。とくに洗濯物を干すスペースが限られている場合は助かる。
ビジネスソックスやスクールソックスは同じもので揃える。
夫や子どものソックス類は同じものを揃えておくことで洗濯の仕分けが不要になり、干す、畳む、しまう全過程がシンプルに。片方捨てたい時も困らない
ストッキングやフットカバーをネットごと乾かす。
ネットに入れて洗う薄手の小物類は、ネットから取り出すひと手間を省き、そのままピンチに吊るす。ネット自体もすっきり乾いて一石二鳥。
枕カバーにフェイスタオル。着脱も洗濯も楽して快適。
汗をかきやすい夏は枕カバーにフェイスタオルを重ねておき、毎日交換することで清潔で快適な状態が保てる。このサイズなら干すのも収納するのも扱いやすい。
2.必要なものをすぐ手に取れる配置にする。
狭くて湿度や気温が上がりやすい洗濯機スペースでは、できるだけ無駄なく効率よく動けるよう道具や洗剤類はサッと手に取れる場所に収納しておく。「飛行機のコックピットのようにものの配置を高密度にすれば、最小限の動きで必要な操作がすべてできる。洗濯の準備が流れるようにはかどります」
家族だれもが作業できるわかりやすいコックピット化。
洗濯物を取り出した位置から振り返って右手の棚に、大型のネットやハンガー、ピンチ類。
洗濯機横のかごには洗濯ネットやハンガー類を収納。
洗濯物の3つの仕分けは家族それぞれにまかせる。
3.汚れを予防することで部分洗いを不要に。
洗濯の手間を減らして時短するには、落としにくい皮脂汚れ対策が大切。「洗濯機洗いでは落ちにくいシャツの首まわりや袖口の皮脂汚れ。着る直前にベビーパウダーを軽く叩いておくとパウダーが皮脂を吸着して汚れにくくなります。また、汚れが目立たないデザインのものを選ぶのも手です」
皮脂汚れを予防するベビーパウダーの裏技。
子どもの制服やワイシャツの首まわりや袖口に、着る前にベビーパウダーを軽く叩くだけ。サラサラで着心地よく、部分洗いの手間が省ける。
衿や袖口の裏が柄になっているシャツを選ぶ。
デザイン性と皮脂汚れを目立ちにくくする効果を兼ねた、衿や袖の裏が柄になったシャツ。日常着は洗濯の手間も考えて選ぶと結果的に家事の時短化につながる。
4.アイロンがけは、夏に避けたい家事の筆頭。
「洗濯機洗い可能なシャツやボトムは、専用のネットを使うことでシワや形崩れを気にせず洗えます。畳みながらセットする手間はかかりますが、アイロンがけとどちらを取るかということ。私は断然ネット派です」
暑い中のアイロンがけより、セットのひと手間がベター。ネットdeきれいシャツ用、同パンツ用 各1,200円(カリス成城☎︎03・3483・1960)
シワや型崩れを防ぐ専用の洗濯ネットを使用。
5.家事の移動距離を短くする方法を探す。
洗濯の時短は、洗って、干して、しまう、3つの場をできるだけ近づけるのが本間メソッド。それができないなら、行ったり来たりを減らす工夫を。「暑い夏は外干しより動線が短い、部屋干しも考慮に。乾きやすい季節ですが、カビが気になる人は、洗濯機に入れる抗菌アイテムを利用して」
ピンチハンガーは畳んで肩に担ぐと、簡単に2個持ちでき、移動の手間を減らせる。
洗濯物をセットしたピンチハンガーを手に室内を移動すると、壁や柱にぶつかるなどしてストレスに。この時、洗濯物を吊るしたままピンチハンガーを畳むと、一気に2つのハンガーを肩に担げて、両手もあく。ハンガーを持って行ったり来たりを1回に集約できる。
洗濯機に入れっぱなしで、洗濯槽と洗濯物の抗菌が。
洗濯槽のカビや部屋干しのにおいを抑える効果が期待できるホタテの貝殻を使った自然派防カビ剤。1包を入れっぱなしで30回使える。洗濯槽快 2包組 1,200円(セイエイ☎︎072・637・8788)
『クロワッサン』953号より
●本間朝子さん 知的家事プロデューサー/時間と無駄な労力を省く家事メソッド「知的家事」を考案。著書に『家事の手間を9割減らせる部屋づくり』が。