高畑勲の演出術に迫る、『高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの』が開催中。
取材・撮影/クロワッサン オンライン編集部
東京・竹橋にある、東京国立近代美術館にて開催中の『高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの』。
日本のアニメーション界を牽引した、アニメーション監督・高畑勲の初の大回顧展だ。
国立近代美術館では、1990年に開催された手塚治虫展以来、アニメーションを題材とした展覧会は二回目となる。
今回、新たに発見された資料を含め、1,000点を超える作品資料を展示。
日本アニメーションの新たな表現方法を切り拓いた高畑勲。今回の展覧会は4章で構成され、その革新性のある演出術に迫っている。
第1章では、1960年代、東映動画時代からキャリアを積んでいくまでを紹介。長編初監督作品となった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968年)などの資料を公開。
第2章では、1970年代、クロワッサン世代でもファンの多い「パンダコパンダ」(1972)、「アルプスの少女ハイジ」(1974)、「赤毛のアン」(1979)など、テレビの名作シリーズを数々演出。子どもの心を解放する仕事がしたいという想いから、日常生活を丹念に描写する演出手法でアニメーションの新たな表現領域を開拓した。
第3章では、「じゃりン子チエ」(1981)をきっかけに、日本人・日本の自然に目を向けた高畑勲が、日本を舞台にした作品「火垂るの墓」(1988)、「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)を続々と発表。戦中・戦後を描く高畑勲の仕事にフォーカスした。
第4章では、「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999)や、遺作となった「かぐや姫の物語」(2013)では、スケッチの線を生かした手法に挑戦した高畑勲の新たな表現方法に注目する。
また、フランスの詩人、ジャック・プレヴェールの詩を高畑勲が翻訳、奈良美智が絵を付けた詩画集『鳥への挨拶』から生まれた奈良美智のオリジナル作品の全75点の内、24点も出品。『鳥への挨拶』の制作にあたり、プレヴェールの詩のイメージと奈良の描く子供に共通する想いを見出し、奈良に共作を呼びかけたことがきっかけ。海外のコレクターの所蔵品のため、実物を見られる貴重な機会となっている
会場内は原則写真撮影は禁止だが、アルプスの少女ハイジのジオラマと、アルムの小屋(会場外)は写真撮影可能。また、展覧会オリジナルグッズも充実している。
今回、音声ガイドナレーターが、連続テレビ小説「なつぞら」で、坂場一久役で出演中の俳優・中川大志を起用。
クロワッサン世代をはじめ、幅広い年代から愛されている高畑勲作品。会期中なんども足を運んでほしい展覧会となっている。
『高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの Takahata Isao: A Legend in Japanese Animation』
会場:東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー(〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1)
会期:~10月6日(日)
休館日:月曜日(ただし7月15日、8月12日、9月16日、9月23日は開館)、7月16日(火)、8月13日(火)、9月17日(火)、9月24日(火)
開館時間:10:00-17:00(金、土曜日は21:00まで) ※入館は閉館30分前まで
問合せ:03-5777-8600(ハローダイヤル)
巡回情報:2020年4月10日(金)〜5月24日(日)まで岡山県立美術館へ巡回
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