単語パズルにハマる!?│山口恵以子「アプリ蟻地獄」
イラストレーション・勝田 文
与えられたひらがなの文字を並べ替え、二~五字の単語を作るゲーム。
これ、ハマります。四~六文字のひらがなを用いて単語を作るわけだが、いくら言葉として正しくてもアプリと同じ単語でないと正解にならないので、記憶力を総動員して知っている単語を絞り出す。やってもやっても正解が出ないと、次第に頭に血が上ってくる。
今回、ゲームを続けているうちに千点を超えたので、欲が出て止められなくなった。高得点者は一万点以上取っている。追いつけ追い越せとまでは思わないが、せめてもう少し得点を伸ばしたい……。
そして気が付けば三時間経過。
ぎゃ~! こんなことやってる場合じゃなかった。締め切り迫ってるのに、どうしよう!
ただのゲームならここまでハマらなかった。単語を考えるのは、国語力を刺激されるのだ。
昔、マンガや小説に夢中になって、それこそ「寝食を忘れて」読んでいた頃を思い出した。今はベッドで本を読むとすぐ眠くなるが、あの頃は徹夜しちゃったよなあ……。
それにしても、日本語の豊かさには驚かされる。ひらがなたった六文字で、三文字や四文字の単語がいくつも出来てしまう。
寄る年波で漢字を忘れがちな中高年世代にも、あんまり本を読まないで漢字を知らない世代にもお勧めな単語ゲームアプリでした。
せっかくなので、もう少し難しい熟語の出てくる「漢字大好き人間」に特化したアプリも欲しいです。
山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。近著に『夜の塩』(徳間書店)。
『クロワッサン』997号より
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