くらし

ブロック崩しに再挑戦!│山口恵以子「アプリ蟻地獄」

  • イラストレーション・勝田 文
『breaker:ブロック崩し–30秒でどこまで壊せますか?–』。新感覚のブロック崩しアプリ。無料。

このアプリはテレビゲーム最初期の「ブロック崩し」を彷彿させる。

初めて体験したゲームがブロック崩しで、あれでいきなり0点を取った苦い経験が、インベーダーゲームの大ブームから私を遠ざけた。

もちろん最新のCG技術が使われているから、画面の華やかさ、音響の多彩さはかつてのゲームとは雲泥の差がある。しかし、形式はブロック崩しそのものだ。

今回挑戦してみたら、0点なんてことはなく、結構高得点も出た。これまでいくつかのゲームアプリを体験したので、少しは地力がついたのかも知れない

ちょうどインベーダーが流行っていた頃は、映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のヒットでディスコ・ブームにも火がついていた。

当時、高校の同窓会で「まだディスコに行ったことがない」と言ったら、友人たちが二次会で新小岩のディスコへ連れて行ってくれた。ところが入った途端に店内でケンカが始まり、警官が駆けつけて大騒ぎになった。その苦い経験に懲りて、私は二度とディスコへ足を踏み入れなかった。

思い返せば、世間の流行とは無縁の人生だった。インベーダーゲームもディスコも「スター・ウォーズ」もバブルの余録も援助交際も、何一つご縁のないまま私の上を通り過ぎ、気が付けばすでに還暦……。

もし最初のブロック崩しで高得点を出していたら、その後の私の人生変っていたのだろうか?

いや、無理だな、きっと。

山口恵以子(やまぐち・えいこ)●作家。近著に『夜の塩』(徳間書店)。

『クロワッサン』995号より

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