くらし

【山田ルイ53世のお悩み相談】やりたいことが多すぎて夢が定まりません。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は選択肢が多すぎて悩む10代の若者からの相談です。
  • 撮影・中島慶子

<お悩み>
夢が定まりません。 音楽も美術も写真も大好きです。やりたいことが多すぎてどの道に進もうか本気で悩んでいます。 今18歳で、今年高校卒業で周りは皆進路決まっていてとても焦っています。 (まつお/女性/今年高校卒業の18歳。某コンビニエンスストアのアルバイトをしています。)

山田ルイ53世さんの回答

決めかねているうちは、本気だろうが大好きだろうが、何も始まりません。
文字通り、夢……寝ているのと同じ。
"夢"という体積の割に質量が小さなフワフワしたものを、「大好き」という目の粗いフィルターで濾し、選択肢を絞り込もうとしてもなかなか難しい。
本当に選べないということであれば、サイコロでも振ってみてはいかがでしょう。
と言うのも、音楽、美術、写真……いずれも、センスや才能が不可欠なジャンルの仕事です。
おまけに運も必要。
一応一発くらいは当てたことがある筆者の経験上、運のみでの成功はあり得ませんが、全く運が無いというのも困りもの。
そういう世界です。
世の中の仕事は全てそうですが、飯が食えるか食えないかというラインを越えるのは、容易ではありません。
相談者が進もうとしている道は、なおさらそうだと思われます。
そのどれもが、賭けに等しい。
サイコロくらいの確率に身を委ねられぬ"か弱いメンタル"では、将来、生活や創作に行き詰った際、心を挫かれるのがオチです。
……と、少々乱暴な話になりましたが、本気とは決めること。
選べないなら、1個1個潰すしかない。
結果どれも向いていなかったということも十分あり得ます。
しかし、決めなければ、それも分からない。
筆者としては、将来の成功ではなく、目の前の失敗に早く辿り着くことをお勧めします。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
⇒ 公式ブログ

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