順番には理由がある。先人の知恵「さしすせそ」。
撮影・岩本慶三 文・斎藤理子
和食には、美味しくするために先人たちが積み上げてきた知恵や創意工夫があふれていると、松田美智子さん。たとえば、調味料を入れる順番を表す『さしすせそ』という言葉。砂糖、塩、酢、醤油、味噌を表すが、その順番には意味や理由がちゃんとあるのだそう。
「砂糖を先に加えるのは、砂糖の粒子が塩より大きいから。塩を先に入れてしまうと素材の繊維の隙間が塩で埋まり、あとから砂糖が入らなくなってしまいます。醤油や味噌が最後なのは、香りが飛ばないようにするため。いずれもきちんとした科学的根拠があるんですね。それを意識して作れば、普段のお惣菜も格段に美味しくなりますよ」
食材の切り方にも同じことがいえると、松田さんは言う。
「調理の仕方や味付け方法に合った切り方をすれば、早く火が通ったり味が早く調ったりして、時短にもつながります。毎日は無理でも、週末にはきちんと手順を踏んだものを作ってみる習慣ができるといいですね」
【肉じゃが】面取りをすれば、味がよく染みて煮くずれしない仕上がりに。
材料(2人分) メークイーン300g、牛肩ロース薄切り200g、A[ごま油大さじ1、生姜千切り大さじ2]、三温糖大さじ1½、酒¼カップ、水1½カップ、醤油大さじ1½、絹さや10枚(ヘタを切り斜め千切り)
【鯖の味噌煮】焼くことで臭みを抑え、煮崩れも防ぐ効果が。
材料(2人分) 鯖(三枚おろし)半身、薄力粉適量、ごま油大さじ1、三温糖大さじ1、生姜(千切り)¼~⅓カップ、酒¼カップ、水1カップ、味噌大さじ1½~2、醤油小さじ1
[雷こんにゃく]徹底的に水分を抜けば、味が染み込む。
材料(作りやすい分量) 黒こんにゃく1枚(300g)、塩小さじ1、ごま油大さじ1、赤唐辛子(みじん切り)適量、酒大さじ3、水½カップ、醤油大さじ1½
『クロワッサン』946号より
●松田美智子さん 料理研究家/雑誌、TV、CMなど多ジャンルで活躍中。日本の味を世界に発信する取り組みも。近著は『和食調味料バイリンガルガイド』(小学館)。
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