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『うまれたての星』大島真寿美 著──あの頃、少女漫画誌に関わった人々の思い

文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。

文・瀧井朝世

『うまれたての星』 大島真寿美 著 集英社 2,750円
『うまれたての星』 大島真寿美 著 集英社 2,750円

みなさんは幼い頃から、どんな少女漫画誌を読んできただろうか。『ちゃお』『なかよし』『りぼん』『花とゆめ』……。本作は、1969年から始まる、『週刊マーガレット』『別冊マーガレット』編集部をモデルとした長篇小説だ。

出版社に就職し、『週刊デイジー』と『別冊デイジー』編集部に経理補助として配属され、少女漫画の面白さに目覚めていく辰巳牧子をはじめ、編集にかかわるさまざまな人が視点人物となる本作。当時、漫画家を担当するのは男性編集者ばかりで、女性は懸賞ページなどを作っていたという。社会での女性の立場が変化する過渡期だったのだ。一方、漫画家は若い女性が多く、彼女たちが新たな漫画家観・価値観を吹き込んでいく。『週刊デイジー』で始まったフランス革命を題材にした作品が爆発的な人気を博す様子も描かれるが、これは『ベルサイユのばら』のことだろう。編集者たちは架空の人物だが、漫画家や作品については、分かる人には誰/どの作品のことか分かるに違いない。

読めばおそらく幼い頃を思い出すはず。自分が読んでいた少女漫画誌から、どれだけ知識や文化を吸収していたかを実感した。携わっていた人たちに感謝したい。

  • 瀧井朝世 さん (たきい・あさよ)

    ライター

    著書に『ほんのよもやま話〜作家対談集〜』『偏愛読書トライアングル』など。

『クロワッサン』1157号より

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