【編集者・佐々木素子さんの台所】自由自在にあるものを活かして、賃貸の台所を自分仕様に
台所は、その家に暮らす人のさまざまなものを映し出す場所。機能性重視なのか、清潔が一番なのか、道具選びのポイントは何なのか……。そして知恵を重ねアップデートされる台所道具も、日本にはたくさんあります。大小、“工夫”の宝庫である台所。編集者・佐々木素子さんの知恵の詰まった台所と道具を紹介します。
撮影・川村恵理 文・梅原加奈
佐々木素子（ささき・もとこ）さん 編集者。編集ユニット「auk」として海外の街歩きガイドブックなどを手がける。著書に『「好き」を追求する、自分らしい旅の作り方』（誠文堂新光社）などがある。
料理や旅の書籍編集者である佐々木素子さんは、東京・郊外にある2DKのマンションに暮らす。料理好きで物持ち。保存のきく食材も、料理道具も、コレクションしている食器も多数ある。それゆえにコンパクトで年季の入った賃貸の台所を自分流にアレンジし、使い勝手よく拡張。まさに“工夫だらけ”のキッチンだ。
「ダイニングには食事用テーブルでなく作業台を置き、料理のしやすさを優先しています。作業台の上は、物を置くとゴチャゴチャするし効率も下がる。だからあえて何も置かず、作業が終わったら即片づけるのがマイルール。そのために出しやすくしまいやすい収納を心がけています」
作業台の下や棚はまるでパズル。手持ちのラックや木箱を組み合わせ、機能的に収納。また可動式ラックや隙間収納もフル活用し、収納力を上げる。食器などの置き場所はダイニングに限定せず、家全体が台所を中心にまわる仕組みを徹底する。
「どう使うといいか、その工夫を日日、考えています。家の中で、物それぞれにぴったり合うアドレスを考えるのが好きなんだと思います」
可動式の3段ラックで収納力倍増
通常は動線の外側に置いている可動式の3段ラック。「調味料のストックや粉類、乾物などを入れています。料理中など必要なときだけ運び、取り出して作業をして、使ったらまた元の定位置へ。料理の途中で冷蔵庫や棚を行き来する手間が省け、収納力も高く便利です」
スポンジやウエスはすぐ取り出せる位置に
唯一、作業台に置かれていたのは、スポンジとウエスの入ったガラス瓶。「スポンジは〈セリア〉の1日使い切りスポンジ。ウエスはさらし一反を自分で使いやすいサイズにカット。取り出して、使って、捨てる。日々、この流れがスムーズにできる定位置に置いています」
既存のシンクの高さに合わせ、作業スペースを広げる
作りつけのシステムキッチンの並びに、もともと持っていた同じ高さのステンレス台を設置し、作業スペースを広げた。「台所での作業は、高さにがたつきがあるとそれだけでストレスを感じてしまう。高さを揃えると横移動しやすく、作業効率が上がります」
収納ボックスは引き出しや箱を活用
古道具なども好きで収集したものがたくさん。「持っているものは活用したいので、和ダンスの引き出しを棚がわりに重ね、コーヒーコーナーを作りました。木箱や海外の段ボール箱などは同じサイズのものを並べると、無駄な隙間を作らず収納力が上がります」
『クロワッサン』1151号より
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