あの味を家庭でも再現! 郷土料理のためのツール10選
撮影・松村隆史(料理)、黒川ひろみ
瓦そば用瓦
山口・下関の「瓦そば」が家庭で手軽に楽しめる
瓦そばは、熱した瓦の上に茶そばと具材をのせて焼き、つゆをつけて食べるという独特な郷土料理。自宅でならホットプレートでも代用できるが、家庭用に作られた耐熱瓦があれば、より本格的な味と雰囲気が堪能できる。島根・浜田藩の瓦師から始まった創業200年超の製造窯元による瓦は、姿の美しさもさることながら、耐久性も充分。
銅板明石焼き器
ふわふわの明石焼きを理想の焼き加減で
兵庫県明石市のソウルフード「明石焼き」。たこ焼きとは異なり生地に卵や出汁を加えるため、ふんわり柔らかな口当たり。この食感を損なわず焼くのに熱伝導に優れた銅製の鉄板は欠かせない。鉄製だと焦げ目がついて、表面の柔らかさが失われるのだそう。焼き上がったら、柄を持って銅板ごと皿に返せば崩れない。
ところてん突き
ブロック状のところてんを細く長く切り出すのに欠かせない
天草などを煮出した液を冷やし固め、細長く切って作るところてん。家庭で自作するときは、てん突きがあるとないとで仕上がりも労力も大違い。こちらは、ところてんの本場、静岡・伊豆にある老舗ところてん店『伊豆河童』のオリジナルてん突き。本体は手になじむ朴の木、刃は真鍮製で硬めのところてんもスルッと切り出せる。
ジンギスカン鍋
北海道の老舗レストランがこだわって作った本格鍋
創業69年の『松尾ジンギスカン』で使われる鉄鍋。「山で焼いて、溝で煮る」という“松尾流”の食べ方をもとに、改良を重ねて生まれた形状が特徴。周りの溝に野菜を敷いてタレをかけ、真ん中の山の部分で肉を焼く。すると肉汁が溝に流れ、旨みの染みた野菜も楽しめる。最後にタレが残った溝にうどんを入れて〆るのがおすすめ。
カツオ包丁
手打ちで造る「土佐打ち刃物」。かつおも捌ける切れ味が自慢
高知が誇る美味・かつおを捌くのに適した包丁。職人が高温で熱した鋼材を叩いて鍛造しており、厚くて頑丈だ。切れ味も抜群なので刺身用に薄くスライスするのはもちろん、これ一本で硬い骨まで効率的に切り離すこともできる。両刃タイプで切るものに対して刃がまっすぐ入ることから、初級者から上級者まで扱いやすい。
柑橘皮むき器
愛媛県民も愛用!? 柑橘の皮むきが簡単に楽しく
八朔などの厚い皮の柑橘も楽々むける「ムッキーちゃん」。上下に小さな鋭い刃がついていて、白いフタ側の刃は外皮に切り込みを入れる用。オレンジの本体は果肉の薄皮をむくのに適しており、溝に果肉をセットしてスライドさせると、中身を傷つけずにきれいに切れる。果汁も最小限に抑えられて、手が汚れないのもうれしい。
とり煎り網
宮崎で食べた味に近づける、鶏の炭火焼き用の網
宮崎の伝統的な郷土料理「鶏の炭火焼き」など、煎る工程が必要な調理に活躍する持ち手付きの網。ステンレスの網部分は同素材の蓋を閉めた状態で裏返せるので、上下どちらからでも炙ることができ、食材全体がしっかり加熱される。コンロはもちろん、七輪やバーベキューグリルなどアウトドアシーンでも活躍。
しりしり器
沖縄の「にんじんしりしり」の伝統を支える千切り器
にんじんなどの野菜を押しつけるように擦って使うもので、一般的なスライサーと異なりギザギザした切り口になる。それによって油や調味料が染みやすく、しっかりした食感に。沖縄の多くの家庭で使われているのがこの「スターライオン」ブランド。朴の木×ステンレス製で穴のサイズは8mmと6mmがあり、仕上がりの好みで選べる。
皮・殻むきバサミ
てごわい栗の皮や銀杏の殻もサクサクむける
栗の皮専用の「新型栗くり坊主」(右)。ギザギザした刃部分に栗を食い込ませて持ち手を握れば、鬼皮と渋皮が同時にむける。一方「ぎんなんぼうず」(左)は、銀杏の実を潰さずに殻だけを割れる道具。いずれも滑りにくいグリップで、弱い握力でも簡単にむける優れもの。栗や銀杏を使った料理も身近になりそうだ。
『クロワッサン』1151号より
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