万葉集にも詠まれた歴史の湯──ギフトコンシェルジュ・裏地桂子さんの道後温泉街の楽しみ方. Vol.1
撮影・上原未嗣 着付け・渡邊明子 文・日高むつみ
ギフトコンシェルジュ
2025年4月末、東京と道後の2拠点生活から道後への完全移住にシフト。道後の新居は外湯が目の前、空港から20分の好立地。道後を拠点に国内各地への旅を楽しんでいる。
道後温泉──万葉集にも詠まれた歴史の湯を堪能
大国主命(オオクニヌシノミコト子にまつわる逸話も残り、歴史は三千年とも。夏目漱石の『坊っちゃん』に登場した道後温泉本館を中心に国内外からの人で賑わう。
いつかは長年の東京生活卒業をと考えていた7年前、故郷である道後の優先順位は高くなかったという裏地桂子さん。しかし、路面電車が通り、観光地だけにタクシーも多い。そしてなんといっても温泉が徒歩圏内! 結果、移住先は道後温泉のど真ん中に。「東京にも引けをとらない日本料理やナチュラルワインを楽しめる店も発見。旅慣れた友が納得する宿も確保して、もはや死角なしです」
かくして裏地さんは旅する感覚で温泉街を回遊し、時には愛してやまない着物姿でお出かけも。この日も夏大島に染色家・品川恭子さんによる雪持ち芭蕉の帯を合わせた和装で、東京からの友人をもてなすコースを教えてくれた。
道後麦酒館(ばくしゅかん)
道後温泉本館の真ん前で湯上がりビールをごくり
道後唯一の蔵元『水口酒造』直営。「徒歩5分の醸造所から、造りたてが届くから常にフレッシュ」。地ビールはすべて樽生、タップから注がれる一杯は泡まできめ細かく喉越しも爽快だ。定番4種のほか、地元の柑橘を使ったフルーツビールも。
道後 海舟(かいしゅう)
愛媛の海と山と川の“今”を噛み締め、味わう
日本各地の名店を知る裏地さんに「この料理のため道後へ来る価値あり」と言わしめる日本料理店。素材はほぼ100%愛媛産。中でも魚は今治来島と南予から届き、生きたまま休ませる活け越しと神経〆で最高の味を引き出したもの。唯一無二の味と香り、食感に舌鼓を。
つぼや菓子舗
坊っちゃん団子の元祖、漱石も食べた老舗の味
明治16年創業。初代の湯晒団子が『坊っちゃん』に登場したのを機に2代目が考案した。求肥餅を宇治抹茶、大手亡豆、しゅまり小豆の餡で包んだ団子は、1粒が直径2.5cmほどのサイズであっという間にペロリ。さらりと軽やかな口溶けも魅力だ。
『クロワッサン』1148号より
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