BTS再始動に向けて、モードの変化を窺わせる3曲のシングル──「Killin’ It Girl」(j-hope)
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。今回は、韓国のボーイグループBTSのラッパー、j-hopeが今年に入ってから連発した3曲のシングル、「Sweet Dreams」「MONA LISA」「Killin' It Girl」。ここで得た成果は、確実にグループへと還元されることになるはずです。
文・高橋芳朗
韓国のボーイグループBTSのラッパー、j-hopeが7月13日にベルリンで開催された大型音楽フェスティバル『Lollapalooza Berlin』に出演。堂々のメインアクトを務めました。
BTSのメンバー全員が兵役を終えて来春のカムバックに向けて動き出した現状を踏まえると、2022年7月発表のアルバム『Jack In The Box』に端を発するj-hopeのソロ活動も今回のステージをもってひと段落を迎えることになるのでしょう。楽曲のリリースのみならず、ワールドツアーの開催やドキュメンタリーの公開など、約3年にわたる彼の活動は実に精力的でした。
ʼ90年代ヒップホップへの敬意、憧れのラッパーとの邂逅、ストリートダンスの探究など、j-hopeのソロ活動は「原点回帰」の色合いを濃くしていましたが、今年に入ってから連発した3曲のシングル、「Sweet Dreams」「MONA LISA」「Killin’ It Girl」は明らかにそれまでの作風と様相が異なります。これらは「欧米のプロデューサー主導で作られたR&B色の強いヒップホップ」という点で共通していますが、果たしてここにはどのような狙いがあるのでしょうか。
個人的な所感ですが、この曲たちからはj-hopeのモードが従来のパーソナルな世界観から一転、「私」から「公」に切り替わりつつあることが窺えます。その視線の先にあるのは、もちろんBTSの再始動。ここで得た成果は、確実にグループへと還元されることになるはずです。
『クロワッサン』1148号より
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