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【粋な東京パワースポット】東叡山 寛永寺(上野)──関西でなくともここがある、江戸っ子の娯楽

いざという時にお参りする神社やお寺は江戸の人々にはどんな存在だった? 人気の社寺を実際に訪れ透かし見えたのは、嗚呼、花のお江戸の景色かな。──江戸文化研究家の滝口正哉さんとコラムニスト・辛酸なめ子さんが江戸の代表的な社寺へ。今回は、上野の東叡山 寛永寺を訪ねた。

撮影・青木和義 イラストレーション・辛酸なめ子 構成&文・堀越和幸

上野大仏の傍には、受験生の合格祈願の絵馬がびっしり
上野大仏の傍には、受験生の合格祈願の絵馬がびっしり

東叡山 寛永寺(上野)
台東区上野桜木1-14-1 TEL:03-3821-4440 https://kaneiji.jp/

関西でなくともここがある、江戸っ子の娯楽

寛永2年(1625年)、徳川幕府にとって顧問のような存在だった僧侶、天海(てんかい)によって創建されたのがこの東叡山寛永寺(とうえいざん・かんえいじ)。「上野はそもそも小高い山で、その36万5000坪の広大な敷地全体を使って寺を造ろうしたのです」(滝口さん)

上野は江戸城から見れば北東の位置の鬼門にあたる。そこを封じながら、西の比叡山が京都御所をお守りしたように、ここを鎮守の寺にしようとしたのが天海の狙いだ。不忍池(しのばずいけ)を琵琶湖に見立て、京都を模して清水観音堂を建てた。

「おかげで江戸の町民は、関西に行かずとも済むテーマパークと捉えて、大勢の人々がここに集いました」(滝口さん)

「水茶屋(茶汲女がいる店)もいっぱい出たと聞いたことがあります」(辛酸さん)

「はい。お店や催し物で毎日が縁日のように賑やかだったそうです」(滝口さん)

芝公園にある増上寺と並び、徳川家の菩提寺である東叡山寛永寺の根本中堂
芝公園にある増上寺と並び、徳川家の菩提寺である東叡山寛永寺の根本中堂

ところで寛永寺は近年、受験生のご利益スポットとしても信仰を集めている。上写真の上野大仏がそれで、こちらは関東にあった唯一の大仏として親しまれていたのだが、関東大震災の折に首が落ち、第二次世界大戦の際には胴体や他の部分が供出され、顔だけが残された。

「これ以上落ちない合格大仏、として毎年多くの受験生が参拝します」(滝口さん)

お参りついでにこんなお土産

【粋な東京パワースポット】東叡山 寛永寺(上野)──関西でなくともここがある、江戸っ子の娯楽

『酒悦』の福神漬とらっきょう
延宝3年(1675年)創業。酒悦とは”酒が悦ぶほどうまい”の意。元祖福神漬とらっきょうは永遠の人気商品。福神漬90g 324円、らっきょう60g 486円。

台東区上野2-7-11  TEL:03-5688-5053 (営)10時~20時 無休
  • 辛酸なめ子

    辛酸なめ子 さん (しんさん・なめこ)

    コラムニスト、漫画家

    独自の感性であらゆるジャンルの事象をフィールドワーク。近刊には『江戸時代のオタクファイル』(淡交社)がある。

  • 滝口正哉

    滝口正哉 さん (たきぐち・まさや)

    江戸文化研究家

    江戸文化に関わる多くの著作、論文を著し、セミナーなどでも活躍中。著書に『江戸の祭礼と寺社文化』(同成社)などが。

『クロワッサン』1145号より

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