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成し遂げた今こそできる決断、これからの時間は家族とともにーー高山泰子さん

長く走り続けてキャリアを極めたのち、家族のもとに帰るという選択肢もあります。元「プレインピープル」エグゼクティブ アドバイザー、高山泰子さんのエピソード。

撮影・徳永 彩 文・一澤ひらり

孫たちと遊ぶ髙山さんの姿を見て、娘のせいらさんは、

「母はずっと仕事をしてきたから、ようやくゆっくりできるのでホッとしています。孫たちの面倒をよくみてくれるし、4人目が生まれるので、サポートしてもらえるのはありがたいですね。私は働く母の背中を見て育ちましたが、プロフェッショナルだと思うし、人としてリスペクトしています。これからは自分の思うままに生きてほしいです」

7月にせいらさん夫妻から、退職して時間ができたならと誘われたのが、4泊5日の沖縄旅行。髙山さん、せいらさんと孫3人での賑やかな旅となった。

成し遂げた今こそできる決断、これからの時間は家族とともにーー高山泰子さん

「娘夫婦のねぎらいの気持ちがうれしかったですね。ホテルのキッズ向けマリンアクティビティーが充実していて、孫たちは毎日参加して思いっきり遊んでいたので、高齢の私と妊婦の娘はのんびりリラックス。バルコニーから青い海を眺めていたんですよ」

さらにこの旅では思いがけない発見もあった。

「いつも旅行の最終日って『あー、明日からまた仕事』って嘆いたけれど、その仕事がないことでものすごい解放感を味わったんです。自分の時間が無限に広がっていくような感覚でした」

沖縄県恩納村のリゾートホテルでBBQを楽しむ。左から、髙山さん、せいらさん、彩人くん、大良くん、めいちゃん。
沖縄県恩納村のリゾートホテルでBBQを楽しむ。左から、髙山さん、せいらさん、彩人くん、大良くん、めいちゃん。

リタイアした今年の目標は体を整えて、体力をつけること

孫育てにいそしむ髙山さんだが、子どもたちのエネルギーの塊のようなパワーについていけないことも。

「やっぱり疲れてしまうんですよね。それでもっと体力をつけなくちゃ!と痛感しました。仕事をしていたときは、加圧トレーニングとか、ピラティスなどをやっていましたが、移動は車ばかりで、あまり歩かなかったんですよね。そのツケがきたのか、足底筋膜炎になって足裏が痛くなってしまって。だから今年はまず体を整えて、鍛えることを一番の目標にしたんです」

では具体的に何をするのか?と考えたときに思い浮かんだのが、仕事でよく通っていた道沿いにあるインド舞踊の教室だった。

「カタックダンスは足にグングルという鈴をつけ、打ち鳴らしながら踊ります」とMIYABIさん。
「カタックダンスは足にグングルという鈴をつけ、打ち鳴らしながら踊ります」とMIYABIさん。

「5年前ぐらいから教室の看板を見るたびに、いつかやってみたいと思っていたんです。それで思いきって体験レッスンを申し込みました」

髙山さんが訪ねたのは「MIYABIカタックダンスアカデミー」。北インドの宮廷舞踊カタックダンスをメインにインド舞踊が学べる教室だ。

主宰するMIYABIさんによれば、「インド舞踊は裸足で踊りますが、美しい姿勢になるし、背中や股関節が柔らかくなりますね。また、インドのステップやリズムで脳が活性化され、骨に刺激が与えられて骨密度アップにつながるなど健康効果も期待できます」

「インド舞踊はまずボディがきれいになりますよ」と話すMIYABIさんの言葉に、ますますやる気アップの髙山さん。
「インド舞踊はまずボディがきれいになりますよ」と話すMIYABIさんの言葉に、ますますやる気アップの髙山さん。

その説明に目を輝かせる髙山さん。まず体をゆるめるために、ヨガを45分ほど行う。裸足で踊るだけあって、足指を開いたり、足首を回したり、足を丁寧にほぐしてから、全身をゆるめていく。体がスッキリ軽くなったところで、いよいよ舞踊のレッスン。

「最初のステップは右左右左、左右左右を繰り返していきます」

リズムが変わり、手の動作や音楽が入ると難しくなってくるが、MIYABIさんが優しくレクチャーしてくれる。

レッスンを終えて髙山さんは、「先生が私に合わせて教えてくださって、安心してトライアルできました。足裏を痛めているので、足のもみほぐしとか関節をゆるめるヨガはいまの自分の体が欲しているものでした。踊りも神さまへの感謝がこめられていて、グレイスフルで素敵ですね」

成し遂げた今こそできる決断、これからの時間は家族とともにーー高山泰子さん

早速、入会した髙山さんは、これからが楽しみ!と意気軒高だ。

「孫たちがタップダンスやバレエを習っていて、その発表会に行ったら、シニアクラスの発表もあったんです。楽しそうで励まされたし、心強かったですね。何かをやりたいと思ったら、年齢なんて関係ないんだなって」

MIYABIカタックダンスアカデミー 東京都千代田区麹町3・12・7 麹町エイチティーズビルB1F …

MIYABIカタックダンスアカデミー
東京都千代田区麹町3・12・7 麹町エイチティーズビルB1F 
https://miyabi-kathak.com

自然の流れに身をまかせ、あるがままに生きていきたい

髙山さんが仕事をリタイアして、いま思うこととは。

「私の場合は子どもを抱えて働かざるをえなかったし、仕事が忙しくて家事のお手伝いを長い間頼んだこともありました。だから家仕事向きの人間ではまったくなくて、見かねた周囲の人たちが助けてくれたおかげで何とかやってこられました。それで余計に孫たちの世話をしたいんですよね」

潔く退職したのも会社にとって何が一番良いのか、考えてのこと。

「私は自由にやらせてもらったから、若い人たちには彼らの感性をいかしてやってほしいし、その邪魔はしたくない。『行雲流水(こううんりゅうすい)』っていう言葉の如く、私は流れに身をまかせて、その流れに逆らわずここまで来たように思います。あるがままに、無理をせず、日々を過ごしていきたい。願わくば、孫たちの結婚式には出たいから、それまでは元気な“ばぁば”でいたいですね」

料理本を買うのが趣味。「いろいろ買い込んできたけど、ずっと多忙でいざ作るときは手軽なネットレシピだったので、これからは本で作りたいものを作るのが楽しみです」
料理本を買うのが趣味。「いろいろ買い込んできたけど、ずっと多忙でいざ作るときは手軽なネットレシピだったので、これからは本で作りたいものを作るのが楽しみです」
  • 髙山泰子

    髙山泰子 さん (たかやま・やすこ)

    元「プレインピープル」エグゼクティブ アドバイザー

    1953年、東京都生まれ。音楽業界を経てファッション業界へ。2009年、衣食住のライフスタイル提案型コンセプトストア「プレインピープル」を創業し、’24年6月に退職。

『クロワッサン』1126号より

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