横浜流星さん「波瀾万丈な主人公に身も心も捧げながら演じています」
撮影・山本康典 文・田辺 香
「波瀾万丈な主人公に身も心も捧げながら演じています。」
横浜流星さんが2025年NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)〜』に主演すると聞き、京都でのクランクインを本誌が取材したのは半年前。東京・NHKで再会したこの日も多数詰めかけた記者たちに囲まれながら、涼しげな〝流星スマイル〟を絶やさない。
この大河で横浜さんは「江戸のメディア王」と呼ばれた蔦屋重三郎、通称〝蔦重(つたじゅう)〟を演じる。吉原生まれの蔦重は粋な江戸の文化に囲まれて育ち、貸本屋から身を起こし版元に。浮世絵師の葛飾北斎(かつしかほくさい)や喜多川歌麿(きたがわうたまろ)、東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)の才能を見抜き、売れっ子絵師に育てあげた。
「蔦重は人間臭くて情に厚く、ひらめきに情熱をのせて行動した人です。1話の田沼意次(たぬまおきつぐ)と会うシーンは現代に例えれば、一国民が総理大臣に向かって意見するようなもの。すべては世の中のため、誰かのために行動することが最大の魅力です」
蔦重の底抜けに陽気なキャラクターを演じるにあたり「とにかく〝明るく〟と監督から毎回注文があります。僕は朝が弱いんです。午前の撮影ではどれだけ思い切り演じても〝まだ暗いよ〟と。ずっと一番の課題です(笑)」
横浜さんがブレイクしたきっかけのひとつはドラマ『初めて恋をした日に読む話』で演じたピンク髪の高校生。主人公の塾講師を一途に思うピュアで大人びた年下男子の魅力に、「流星群」と呼ばれる横浜ファンが世に溢れた。
今は艶っぽい黒髪の日本男児。長年鍛え上げた筋肉が、相変わらずの白い肌に包まれている。中3で極真空手の世界一に輝いたのは有名な話。
「オフがあったら、ジムに行って台本を読んだら一日が終わってます。格闘技を見るのもやっぱり好き。ストイックですか? いえいえ、そんなにです(笑)」
〝火事と喧嘩は江戸の華〟といわれたとおり、第1話は江戸の大火災「明和の大火」のシーンから始まる。江戸の街を賑やかに駆け抜ける蔦重の姿が待ち遠しい。
ドラマのタイトル「べらぼう」は〝甚だしい〟〝桁外れな〟という意味。
「蔦重の生き様は波瀾万丈すぎて身も心も疲れます。でも1年間向き合えることは役者として贅沢なこと。その幸せを噛みしめながら皆さんに愛される蔦重を届けたいです」
2025年は20代ラストイヤー。横浜さんはどんな男性を目指しますか?
「自分の父親です。寡黙で武骨、背中で語るタイプです。僕にとって今でもそれが理想像。周りからつまらないなと思われるかもしれないですけどね(笑)」
『クロワッサン』1132号より
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