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『坂本龍一|音を視る 時を聴く』 東京都現代美術館【青野尚子のアート散歩】

文・青野尚子

坂本龍一が見せる音と時間。

昨年、惜しくも世を去った坂本龍一。彼は音楽のみならず、アーティストたちとの協働を通じて空間に音を配置する試みを実践してきた。この展覧会は坂本が生前残した展覧会の構想をもとにしたもの。彼が長年探究してきた音と時間というテーマを軸に、未発表の新作を含めた10点あまりのサウンド・インスタレーションが美術館の内外に展示される。

坂本龍一+高谷史郎 《LIFE–fluid, invisible, inaud ible…》2007/2023年「Ryuichi Sakamoto | SOU ND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023年 画像提供:成都木木美術館
坂本龍一+高谷史郎 《LIFE–fluid, invisible, inaud ible…》2007/2023年「Ryuichi Sakamoto | SOU ND AND TIME」展示風景、成都木木美術館(人民公園館)、2023年 画像提供:成都木木美術館
中谷芙二子《ロンドンフォグ》霧パフォーマンス #03 779、2017年「BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights」展示風景、テート・モダン、ロンドン、英国 コラボレーション:田中泯(ダンス)、高谷史郎(照明)、坂本龍一(音楽) 撮影:越田乃梨子
中谷芙二子《ロンドンフォグ》霧パフォーマンス #03 779、2017年「BMW Tate Live Exhibition: Ten Days Six Nights」展示風景、テート・モダン、ロンドン、英国 コラボレーション:田中泯(ダンス)、高谷史郎(照明)、坂本龍一(音楽) 撮影:越田乃梨子

アーティストグループ、ダムタイプのメンバーでもある高谷史郎との《LIFE–fluid, invisible, inaudible…》は頭上に四角い水槽が浮かぶ空間を鑑賞者が自由に歩き回ったり、寝転がったりしながら体感するインスタレーション。

〝四角い水槽〞には投影されたさまざまなイメージが浮かんでは消える。「async」シリーズは2017年に発表された同タイトルのアルバムを「立体的に聴かせる」もの。Zakkubalanとの《async-volume》はiPhoneとiPadに坂本のニューヨークのスタジオや庭などの断片的な映像が映し出され、それぞれの環境音とアルバム楽曲がミックスされたサウンドが流れる。《LIFE–WELL TOKYO》は坂本と高谷史郎、霧のプロジェクトで知られる中谷芙二子による作品だ。屋外のサンクンガーデンで霧と光と音が一体となった、夢幻のインスタレーションが体感できる。

展覧会タイトルの「音を視る 時を聴く」は哲学者の大森荘蔵との対話を収めた書籍からとられたもの。目と耳を開いて、音と光の海に飛び込もう。

ほかにタイの映画監督・アーティスト、アピチャッポン・ウィーラセタクンや岩井俊雄らとのコラボ作品が展示される。
 
『坂本龍一|音を視る 時を聴く』
12月21日(土)~2025年3月30日(日)
●東京都写真美術館(東京都江東区三好4・1・1) 
TEL.050・5541・8600(ハローダイヤル) 
10時~18時 月曜休、12月28日~2025年1月1日、1月14日、2月25日休(1月13日、2月24日は開館) 
観覧料一般2,400円ほか
  • 青野尚子 さん (あおの・なおこ)

    アート・建築関係のライター

    著書に『超絶技巧の西洋美術史』(池上英洋さんとの共著、新星出版社)など。

『クロワッサン』1131号より

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