『虎に翼』で反響を呼ぶ劇中歌は、「すべての女性と生きづらさを抱える人々に送る曲」。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
森優太 & スチュアート・マードック「You are so amazing」
ヒロインを優しく鼓舞する「朝ドラ」話題曲の声の主。
女性の社会進出が困難だった戦前戦後の日本を舞台に、法曹の世界で奮闘する主人公・猪爪寅子の姿を描くNHK連続テレビ小説『虎に翼』。その劇中歌「You are so amazing」が大きな反響を呼んでいます。
「You are so amazing」は『虎に翼』の劇伴を手掛ける森優太が作詞・作曲を担当。そして彼の「ダメもと」のオファーが実を結んで、約30年の活動歴を誇るスコットランドの人気バンド、ベル・アンド・セバスチャンのスチュアート・マードックがボーカルを務めることになりました。
「あなたの人生のあらゆる痛みと希望が、あなたの歩みを形づくっていく。きっと眠れない夜もあるでしょう。でも、あなたはあなたの道を往けばいい」
寅子を優しく鼓舞するような「You are so amazing」の制作にあたり、森は「すべての女性と生きづらさを抱える人々に送る曲」を目指したそうですが、それはまさに「ベルセバ」が歌い続けてきたテーマのひとつ。親や学校から強制される社会的規範に抗う女子高校生を題材にした「Expectations」(1996年)などは、法曹界の男尊女卑に立ち向かう寅子の戦いと重ね合わせることもできるでしょう。
今後も物語の重要な局面で使われていくと思われる「You are so amazing」。スチュアートの歌声と共に「生きづらさを抱える人々」に寄り添ってきたベルセバの魅力が広く知れ渡ることを切に願います。
『クロワッサン』1121号より
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