ジャズのエレガンスをポップに伝える若き音楽の女神。【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
レイヴェイ 『Bewitched: The Goddess Edition』
ジャズのエレガンスをポップに伝える若き音楽の女神。
ジャズやクラシック音楽のエレガンスを現代的なポップ感覚を通して表現する中国系アイスランド人シンガーソングライター、レイヴェイ。ここ数年急速に注目を集めている彼女が、今年のグラミー賞受賞作『Bewitched』に新曲4曲を加えたデラックスバージョン『Bewitched: The Goddess Edition』をリリースしました。
現在LAに拠点を置くレイヴェイは、レイキャヴィーク出身の25歳。幼少期からピアノやチェロを習い始め、15歳にしてチェロのソリストとしてアイスランド交響楽団と共演。レイキャヴィーク音楽大学とバークリー音楽大学を卒業後、2022年にアルバムデビューを果たしました。
正統な音楽教育に基づく華麗な経歴、そして年齢に似合わぬ深みのある歌声からくる印象に反して、ポップ志向の強い点がレイヴェイの魅力。彼女はジャズを親しみやすいかたちで若い世代に届けることを自身の活動のモットーとしています。
そんなレイヴェイのスタンスは、ボサノヴァ調のヒット曲「From the Start」のミュージックビデオに明快でしょう。膝丈ミニスカートのワンピースを身にまとい、K-POPアイドルと見紛うような風貌で歌い踊る彼女の姿には、一般的なジャズシンガー像を刷新するインパクトがあるはず。ジャズの新しい入り口として、レイヴェイの躍進はこのジャンルの裾野を劇的に広げる可能性を秘めていると思います。
『クロワッサン』1120号より
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