1973年発表のカントリーの名曲「Jolene」が再注目されている理由【高橋芳朗の暮らしのプレイリスト】
ドリー・パートン「Jolene」
いま再注目される、カントリー名曲のスリリングな歌世界。
約65年のキャリアを誇るカントリーミュージックの第一人者、ドリー・パートン。いま、彼女が1973年に発表した名曲「Jolene」が再注目されています。
きっかけはR&Bの女王、ビヨンセが3月にリリースしたカバーでした。歌詞の一部を改変した彼女の新調「Jolene」は、全米チャートで7位にランクイン。ドリーのオリジナルを上回るヒットを記録しています。
これまで、数多くのシンガーによって歌い継がれてきた「Jolene」。ここ日本では、1976年のオリヴィア・ニュートン=ジョンによるバージョンが有名です。彼女のカバーに触発されるようにして、岩崎宏美、ピンク・レディー、キャンディーズらがレパートリーにしていたことをご存知の方も多いと思います。
そんな「Jolene」を古典たらしめているのは、恋人を誘惑する魔性の女、ジョリーンをめぐるスリリングな歌詞によるところが大きいでしょう。魅惑的なジョリーンに太刀打ちできないと悟って「彼は私の運命の相手。あなたなら他にいくらでも男を選べるはず。お願い、あの人を奪わないで」と懇願する主人公。聴く者をぐいぐいと引き込んでいく、その鬼気迫る状況描写は見事と言う他ありません。
カントリーミュージックの醍醐味は「歌で物語を語る」こと。「Jolene」におけるストーリーテリングの妙技は、この音楽の真骨頂と言えるでしょう。
『クロワッサン』1118号より
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