平野紗季子さんの『犬かよ本』で散歩の奥深さを実感。
photo : Sakiko Hirano/Kasumi Osada/Hanako magazine
不要不急の外出が制限される今、目的もなく散歩をしたり、軽い気持ちで「あそこに行ってみよう!」ということも少なくなりました。その影響が顕著に現れているのがスマホの写真フォルダ。全然写真が撮りたまらない……。そりゃそうだ。家の周りをちょっと移動するような毎日。夏らしいイベントが軒並み中止になったら写真の撮り方も忘れてしまいそう……。
こんなタイミングで手に取ったのが平野さんの通称『犬かよ本』。見開き1ページで一つの街やスポットを散歩した記録が写真と文章で綴られていて、東京を中心に海外まで本当にたくさんの場所が取り上げられています。
そして、この平野さん流の街の記録がとにかく面白い! 美味しそうな食べ物、街の風景、変な置物、看板、張り紙……などなどのたくさんの写真とページからこぼれてしまいそうなほど饒舌な平野さんの文章がとてもポップ! 散歩の楽しさがそのまま本の中に収められています。
私がかつて住んでいた馴染み深い街も登場するのですが「そこ!?」と思わず唸ってしまう切り取られ方には散歩の奥深さを思い知りました……。
ちなみに高田馬場です。ぜひチェックしてみてください!
デザインを担当されたのは数々の印象深い作品を世に放ってきたグラフィックデザイナーの服部一成さん。どのページを開いてもレイアウトの自由さにびっくり! ページをめくるのが楽しいです。本の中で迷子になりそうと思ったのは今までにない経験かもしれません。
雑誌などで大きく取り上げられることが少ないちょっとマイナーな街の魅力も本書にはたくさん載っていてあちこち出かけたくなりました。読み終わったあと「もっといろんな街を散歩してほしい!」と思いましたがあとがきにはこんな言葉が。
「これからも犬のような嗅覚(には到底及ばないけど)と野良の精神(とかいうそばからタクシーに乗っちゃいそうだけど)で、とことん歩き続けて散歩の達人を目指していきたいと思います(ここにきて他誌!)。」
いつか地元の街にも平野さんが散歩にきてくれたらいいな。(やまごや)
やまごや
『クロワッサン オンライン』エディター。年に数回の旅行が生きがい。普段は部屋にいることが多いので部屋を快適にしてくれるアイテムを集め中。今年の目標は体を鍛えて腕を2倍の太さにすること。
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