食品ロスを減らすために、今すぐできる7つのこと。
そんな普通の心がけで家計も税金もセーブでき、良い循環が生まれるのです。「食品ロス」ジャーナリストの井出留美さんにお話を伺いました。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・柿崎サラ 文・新田草子
5.料理の応用力を養う。
「常に棚を商品で満たしておくことは小売店に多大な負担をかけ、食品ロスにもつながります。欲しかった食品がなくても、別のもので対応する。そんな思考の転換も必要ですよね」
また、野菜などの「見切り品」を積極的に使うことも、廃棄処分を減らす助けに。いずれもあるものでレシピを考える応用力がカギだが、それは、
「家庭で眠っている食材の使い切りにも有効です」と、井出さん。なかでも野菜の次にロスになりやすい調味料は、
「例えばナンプラーはアジア料理だけでなく、お味噌汁や炒め物にたらしてもおいしい。鍋の季節を過ぎて余ってしまったポン酢は、浅漬けにおすすめです」
発想力豊かに、楽しみながら食品ロスをなくしたい。
6.飲食店では料理を食べ切る。
レストランでの食べ残しも、食品ロスの大きな原因のひとつ。食べられる分だけ頼む、ビュッフェなら料理を取りすぎない。そんなことを心がけたい。
そして、とくに料理が余りがちな会食などで実践したいのが、「3010(さんまるいちまる)運動」の取り組み。
「宴会の最初の30分と、お開き前の10分間は、席について料理を食べましょう、という提案です。長野県松本市の市役所で始まり、それが全国展開に。啓発のための卓上三角柱POPもあり、環境省のホームページからダウンロードできます」
また、外食で残ってしまった料理は持ち帰ることも検討を。
「最近は対応してくれるお店も増えています。予約時に確認しておくといいですね」
7.食べられるものをシェアする。
いただきものの缶詰や海苔、買い溜めしたけれど使い切れない調味料や乾物、菓子類など。日持ちがするけれど自分では食べ切れないという食品は、シェアするという手もある。
「最近増えているのが、みんなでそうした食品を持ち寄り、福祉施設などに寄付する『フードドライブ』という取り組み。自治体のほかスーパーやフィットネスクラブ、大学など、さまざまな場で開催されています」
自分が暮らす街でそうした試みがないかチェックしてみよう。
フードドライブ、こんなところで。
●フィットネスクラブ
全国に約2000店舗あるフィットネスクラブ「カーブス」では毎年1月15日から2月15日まで、会員でなくても持ち寄れるフードドライブを開催。各スタジオで近隣の児童養護施設などに寄付。
●スーパー
静岡県を拠点とするスーパー「しずてつストア」では毎月指定期間に、家庭で余った食品を回収。「ダイエー」では関東・近畿の129店舗で第3月曜から7日間、フードドライブを開催。
●自治体
東京都でも荒川区や世田谷区、杉並区、文京区など多くの自治体に常設窓口が。さいたま市の一部地域では、余った食品を持ち込むと地域商店などで使えるポイントを付与。
井出留美(いで・るみ)さん●「食品ロス」ジャーナリスト。食品メーカー勤務などを経て国内外での講演など啓発行動を行う。近著に『「食品ロス」をなくしたら1か月5,000円の得!』ほか。
『クロワッサン』1014号より
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