ジェフリー・ビーン氏(1924-2004)は、ニューヨークを拠点に活躍した世界的なファッションデザイナー。着飾るための服ではなく、快適に暮らすための服を追求し、時代の寵児となりました。
記事は、<すべての女性が着心地よく着られる服>を標榜するビーン氏の新作を、評論家、テレビアナウンサー、主婦、スタイリストという4人の女性が試着して批評するというもの。軽くて着やすい、サラッとして着心地がよい、肩パッドが入っていない独自のデザインがいい、などと評判は上々の様子です。
それというのも名言にあるように、ビーン氏が徹底してこだわっているのは「生活に密着した服づくり」。着心地のよさ、動きやすさはもちろんのこと、くるくると巻いて手提げに入れることができ、シワにもならない。しまいやすさまで考慮してデザインしているといいます。
フェミニンな雰囲気を残しつつ、カジュアルにもフォーマルにも対応できる機能的な服。働く女性が増えるなか、洋服に求められるものも徐々に変わりつつあったということでしょう。それは、ビーン氏の次のような言葉にも象徴的に表れています。
<私はこれですというのがパリのファッション、皆が何を欲しているかを考えるのがニューヨークです>
ニューヨーク・ファッションを世界に広めたビーン氏。その発言には、世の中の変化とともに、ファッションもダイナミックに転換していったことをうかがわせる歴史が刻まれていました。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。