夫婦・家族・オフィス…における「モノ」による「ハラスメント」に注目!新たな問題、「モノハラ」について考える。
撮影・中島慶子 スタイリング・佐藤英恵(DRAGON FRUIT/丸岡さん) ヘア&メイク・芳野史絵(丸岡さん) 文・板倉ミキコ
ハラスメントとは、他者に対する発言、行動などが本人の意図と関係なく、相手を不快にしたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えること。今回注目したのが〝モノ〞。気づかないだけで、 周囲を不快にさせているのではないか。 そこで、モノによる実害を受けた人の声を聞きながら〝モノハラスメント〞 の実態を集めて定義づけ、解決策を探ることに。ここでは、もっともモノハ ラスメントが起こりやすい人間関係である夫婦を代表して、有村昆さん、丸岡いずみさん夫妻が登場。男女の脳の違いを熟知する黒川伊保子さんとともに、〝モノハラ〞を論じます。
男女の考え方の違いをよく理解したいです。(有村さん)
イライラの原因がモノにもあるんですね。 (丸岡さん)
丸岡いずみさん(以下、丸岡) 私はモノの片づけ、整理整頓が苦手なタイプなんです。ただ、所有する量はそれほどでも……。夫は仕事柄、映画関連のパンフレット、グッズやDVD、さらには趣味のスニーカーなど、とにかくモノが多いんです。でも、彼なりのルールで整理整頓をしてくれています。
有村昆さん(以下、有村) 何がどこにあるか一目瞭然で、見た目もスッキリ、ということにこだわりはありますね。だからラベルライターをよく使いまして、収納したものの名称を印字して貼り付けています。妻は何でもごちゃごちゃにしてしまうので、無駄な動きが多いのでは、と思うことがあります。だから先日、キッチンの引き出しの収納を見直して整理し、全てにシールを貼ってあげたんです。そのほうが使いやすいかと思って。
黒川伊保子さん(以下、黒川) ま〜、それは大迷惑!(笑)。私の夫も同じタイプです。フォーク、ナイフ、スプーンなどが種類別、サイズ別に分けてあったほうがいいだろうって。それだと見た目はキレイなんですが行ったり来たりしないといけなくなり、時間が余計かかるんです。
丸岡 すごくよくわかります! 彼の整理はやりすぎなんですよ(笑)。大皿、中皿、小皿、菜箸、特殊スプーンとか、本当に細かく分け、全部名前が。
有村 うーん。僕としてはここに大皿があるなってすぐわかったほうがいいんじゃないかと……。
黒川 いやいや、見ればわかりますから。大皿とか関係なく、よく使うものをまとめて前に置きたいんですよ。
丸岡 そうです。見た目はバラバラでも、使うものでまとめたいんです。
黒川 夫からすると雑然と見える収納法が、妻の理にはかなっているんですよ。そこに口出し、手出しをされるのが女性にとってはストレスになる。
有村 う〜ん。女性のほうが実用的な考えなんでしょうね。僕は見た目や空間全体がカッコいいのが好きなんです。
黒川 でも、空間がぐちゃぐちゃしていても、あっという間に料理が出来上がるほうがよいのでは? 家事がしやすいのが一番ですし、そのために収納は動線を考えたものになっていないと。
有村 動線を考えた収納? それは今まで考えたことがなかった視点ですね。やはり女性と男性の違いを感じます。
黒川 特に男性は、1万人が運用できる工場の生産管理の理論を家庭に持ち込みたがるんです。
丸岡 女性は、誰にでも使いやすいなんてことはどうでもいいですよね。自分が動きやすく、暮らしやすく、機能的にしていたいだけ。
黒川 ただ、男女の言い分はどちらも正論だから、どっちが正しいと議論するのは意味がありません。我が家の夫には、私はこう使うと便利だから、ここはこう収納したい、と伝えることで納得してもらいました。
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