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今なぜ、こんなにも“筋肉”に関心が集まっているの?

筋活熱が高まる今、筋トレを気軽に楽しめるスポットから、プロテイン、ウェアにグッズまで。気になる筋活ニュースを紹介します。

文・重信 綾

谷本道哉さん
谷本道哉さん

アスリートに限らず、一般の人々もパーソナルトレーナーをつけたり、24時間営業のジムが多数登場するなど、身体を鍛えることが当たり前の時代がやってきた。そんな空前の筋肉ブームが巻き起こっている理由や、そこにいたるまでの流れについて、5分間の筋トレ番組『みんなで筋肉体操』(NHK)で話題を呼んだ、近畿大学生物理工学部准教授・谷本道哉さんに聞いた。

「まず、日本が高齢化社会になったことをうけて、2007年に日本整形外科学会がロコモティブシンドローム(1)という概念を提唱したことがあげられます。それにより、高齢者の方を中心に“筋トレが必要だ”という認識が広がっていきました。さらに、筋肉研究の第一人者、福永哲夫先生が貯筋(2)という言葉を初めて使い、加齢による運動機能の低下を防ぐには、コツコツ運動することが大切だと提唱し、その考え方が浸透していきました」

巷には、ハードなトレーニングにいそしむ女性もあふれている。

「女性の筋トレブームの始まりは、アメリカ発祥のスクワットチャレンジ(3)でしょう。スクワットは太ももの前面とお尻に効くのですが、後者の変化は特にわかりやすく、これが今も続く美尻トレーニングの源流になっていると思います。筋トレ全般で言えば、女性から熱い支持を得ているトレーナーのAYA(アヤ)さん(4)の存在も、影響を与えていると思います。そして、食事を含めて、“本格的にやらないと身体は変わらない”という思想を男女問わず、広く世間に知らしめたのは、ライザップ(5)でしょう。あのCMを見て“こんなに変わるんだ”と驚いた人はたくさんいるでしょうし、やってみて、“キツくても充実感を得られるもののほうが身体も変わる”と実感したはず。最近では、筋トレ番組も増えてきているようですし、きちんと効果が出るトレーニング法が世間に受け入れられてきていることは、僕自身、とてもいい流れだと思っています」

《用語解説》
(1)ロコモティブシンドローム
筋肉などの運動器障害や加齢により移動機能が低下し、介護リスクが高い状態。

(2)貯筋
年齢とともに減っていく筋肉量を、身体を鍛えて貯蓄しておくこと。

(3)スクワットチャレンジ
徐々に回数を増やしながら、スクワットを一定期間続けて行うこと。

(4)AYA
多くのモデルや女優がこぞって指名するカリスマトレーナー。

(5)ライザップ
パーソナルトレーナーがつき短期間で理想の身体になるプログラムを組むジム。

谷本道哉(たにもと・みちや)●近畿大学生物理工学部准教授。専門は身体運動科学、筋生理学。1月11日放送の『かんさい元気印』(NHK大阪)では、"100歳まで元気"をテーマとした筋肉体操を紹介。『すごい筋肉貯金』(宝島社)、『動的ストレッチメソッド』(サンマーク出版)など、著書多数。

『クロワッサン』989号より

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