からだ

Vol.5 心臓がドキドキします。【40歳からのからだ塾WEB版】

文・及川夕子 イラストレーション・小迎裕美子

新連載・40代からのからだ塾では、更年期世代(40〜50代)の女性に起こりがちな症状について、原因や対処法をお伝えしていきます。更年期まっただ中にいるライター及川が、医師や専門家に根掘り葉掘り。知っておきたい検査の情報やスクリーニングの考え方なども紹介します。ぜひ参考にしてくださいね!

突然ですが、40代、50代のみなさんにお聞きします。最近ドキドキしていますか? といっても、「恋をしていますか?」という意味のドキドキではありません。動悸や胸苦しさ、息切れなどの自覚症状のことです。いつもと同じような生活を送っているのに、ある日、突然、動悸がして息苦しい。就寝中に胸がドキドキして眠れなくなってしまう……。こうしたことは、更年期症状の1つでもあるそうなのです。

女性医師も体験した突然のドキドキ。その意外な原因とは……?

クロワッサン12/10号の誌面でも、更年期のドキドキについて紹介しています。解説は、女性成人病クリニックの院長である村崎芙蓉子さん。実は、村崎さん自身が、52、53歳のときに同じ症状に見舞われています。

ある日、何十年と通っている駅の階段をいつものように上ったら、息切れして苦しい。自分の心臓に何か起こったのかと思うくらい、突然だったそうです。循環器内科医師でもある村崎さん。動悸・息切れは、自身の専門領域です。胸部レントゲンや心電図、心臓エコー検査など、思いつく検査はひと通りし、心臓の薬も飲んでみましたが、症状は消えませんでした。

当時の村崎さんの生活は、1日100人もの患者さんを診察しながら、家庭では妻・母としての役割をこなす日々。動悸に加えて、異常な疲労感、それに足の冷えと顔の乾燥、全身のかゆみ、イライラやうつといった症状に悩まされていましたが、「こんなに忙しいのだから、疲れていて当然」と思っていたそうです。
そのうちに、患者さんと話をするのもつらくなり、思い切って非常勤医に。ゆとりができてきた中で、更年期に関する論文に出会います。
55歳のとき、何をしてもつらい症状が治らないので、エストロゲンを一錠飲んでみると、ドキドキも顔の乾燥も、気持ちがふさいでいたのも、あっという間に消えていき、からっと治ってしまったそうです。

ここで初めて村崎さんは、自身が重度の更年期障害に悩まされていたのだと気づきました。この経験が、のちの更年期専門クリニック開業のきっかけとなりました。

女性ホルモン(エストロゲン)の受容体は全身にあるため、更年期に入りエストロゲンの分泌が激減してくると、その影響がさまざまな症状となって現れます。どこに症状が出るかはひとそれぞれ。頭痛だったり、関節痛だったり、冷えや皮膚のかゆみ、抑うつ症状に動悸まで……。
実際は、ドキドキするからすぐに婦人科へと考える人は少ないでしょう。まずは症状に該当する科で検査や治療を受け、治らなかったら「もしや更年期かも……」と考えてみてください。

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