いつの間にか上昇している!?──今、知っておきたい“血圧の基礎知識”
日本国内の高血圧症有病者数は推定4300万人とされ、高血圧症はがんや糖尿病と並ぶ国民病の一つに挙げられる。加齢に加え、女性は更年期症状で女性ホルモンが減少することもあり、血圧の上昇は避けづらいところがある。それに伴い、血圧の薬を処方される人も増えるが、なるべくなら薬に頼りたくないと思う人は多いはず。
「食生活や睡眠などの生活習慣を見直し、ストレッチや運動をすることで高血圧の改善が期待できますし、セルフでコントロールすることも夢ではありません。ゆくゆくは薬に頼らなくてもいい体づくりを目指してみませんか?」(薬学研究者、薬剤師・加藤雅俊さん)
血圧の基礎知識
Q. 血圧が加齢で上がるのはなぜ?
A. 筋肉や血管の硬化、心肺機能の低下が主因
歳を重ねると筋肉や血管の柔軟性が失われ、心肺機能も低下していく。「血管が硬いと血液の流れが悪化します。さらに心肺機能が低下して酸素量が不足すると、心臓が頑張って血を送りだそうとするため、血圧が上がりやすくなるのです。古くて弾まないボールを跳ね返らせるには多くの力が必要になるのと似ています」
Q. 最高血圧/最低血圧って、何?
A. 血管の壁に生じる圧力のこと
心臓はポンプのように収縮と拡張を繰り返し、体じゅうに血液を巡らせている。「心臓が収縮して血液を送り出す時に血管の壁に生じる圧力が『収縮期血圧(最高血圧)』で、心臓が拡張して血液を溜め込む時に血管の壁に生じる圧力が『拡張期血圧(最低血圧)』です。血圧は人間の活動に合わせて変動し、朝は高めです」
Q. 高血圧の基準値「140/90mmHg以上」はどうとらえればよい?
A. 目安にしつつ“自分の基準”を知って
高血圧の基準値は「140/90mmHg以上」だが、これは1990年にWHO(世界保健機関)等が定めたもので、日本高血圧学会も2000年に同基準を採用。「もちろん目安にはなりますが、年齢や性別、体格などによって個人差があるもの。こういう体調の時は血圧が低いな……等、“自分の基準値”を見つけておきましょう」
Q. 更年期の女性が高血圧になりがちな理由は?
A. 女性ホルモンが減少するため
エストロゲンの分泌低下に伴って生じる不調のひとつが、高血圧だ。「女性ホルモンであるエストロゲンには血管を柔軟に保つ働きがあるため、閉経が近くなるにつれエストロゲン値が減少し、血管が硬くなるのです。ホルモンバランスの崩れで自律神経が乱れ、血圧調整が難しくなるのも要因のひとつです」
『クロワッサン』1154号より
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