これって病気？ それとも普通？──血管にまつわる気になる疑問をまとめて解決 vol.1

Q1 時々脈が飛びます。血管や心臓に不安がありますか？

A 健康な人でも一日に数回は起こり得ます
私たちの心臓は常にリズミカルに動いて、血液を溜めては出す、を繰り返しています。これを期外収縮と言いますが、時々本来のタイミング以外で空打ちをすることがあり、それが“脈が飛ぶ”という状態です。心臓は自律神経との関わりも深く、ストレスを感じただけで脈が乱れることも。健康な人でも24時間、心電図をモニターしていれば起こり得ることで、病気に直結する症状ではありません。ただ、動悸や痛みを伴う場合は一度検査をおすすめします。

Q2 最近頭痛がひどくなってきました。血管に異変が起きていますか？

A 血管に原因がある場合もやや考えられます
頭痛の原因を一つに絞ることは、なかなか難しいんですよ。肩や首の血流が悪くなって起こる緊張性頭痛、気圧の変化によって血管が収縮して起こる天気痛など、頭痛と血管が関係していると思われるケースもありますが、そうでない可能性も大いにあります。たとえば50代以降に頭痛が頻繁に起こるようになったのならば、加齢によって血管が硬くなり、血の流れが悪くなって起こっている可能性も。

Q3 たまに腕の血管がピクッ、ピクッと、目に見えるほど動いています。これは病気？

A 稀にありますが、病気ではありません
血管には動脈と静脈がありますが、ピクッと動くのが見えるとすれば、心臓に酸素を運び、血液を体じゅうに巡らせる動脈のほうでしょう。動脈は体の内側を走っているため、本来はその姿も動きも見えることはありませんが、手首や肘など比較的浅い部分を走る動脈は痩せると浮き出てくることがあり、動きが見える可能性も。気になるかもしれませんが、病気のサインということではないでしょう。

Q4 日によって血圧が全然違います

A 生きていれば当然の現象です！
しょっぱいものを食べた翌日、運動した日、寝不足の日など、行動次第で血圧はすぐに変化します。何か緊張するような出来事があって交感神経が優位になった場合、和式のトイレで用を足した程度でも、です。20〜30mmHgの上昇は当たり前、時には上が250mmHgぐらいまで上がることも。人間の血圧というのは、日によって目まぐるしく変わるのが普通です。大切なことは日本高血圧学会のガイドラインを参考に、毎日同じ時間帯、同じ状況で血圧の記録をつけておくこと。自分の血圧の平均値を把握し、それがどんどん上がってきているようであれば、食生活の見直しや運動を習慣づけてコントロールする。それでも改善されなければ、かかりつけ医に相談を。

Q5 加齢とともに、手の甲の血管がボコボコ浮き出てきました。これ、血管に何か異変があったのでしょうか…？

A 加齢で痩せたことが原因かもしれません
目で確認できる血管のほとんどは、体の表面に近い部分を通る静脈です。ふくらはぎに浮き出てきた場合は、下肢静脈瘤の可能性がありますが、手の甲の静脈が浮き出てくるとしたら、それは痩せて脂肪が少なくなってきたからでしょう。

Q6 五十肩を検索したら「原因はモヤモヤ血管かも」と表示されました。何のことですか？

A 血管と神経は一緒に伸びる性質があります
脳内に血流を行き渡らせている太い動脈が狭くなったり、詰まった結果、血流不足を補うためにバイパスのような細い血管が形成され、麻痺や言語障害を引き起こす「モヤモヤ病」。その原因となる細い血管を「モヤモヤ血管」と呼びますが、最近はMRIの普及によって、脳だけでなく、体のあらゆる部分の血管までが見えるように。すると、血流が悪い場所では、モヤモヤ病と同様に「モヤモヤ血管」ができていることがわかってきています。ではなぜ、それが五十肩の痛みの原因になるのか。それは、肩の関節や筋肉を修復するために一時的に「モヤモヤ血管」が増えてしまい、さらには「モヤモヤ血管」に沿って、痛みを伝達する神経も増殖してしまうからなんです。

Q7 筋トレでは血圧が下がらないってホント？

A 本当です。ハードなものは高齢者は避けて
高血圧を解消するには運動がいい、というのは事実ですが、実は筋トレは逆効果。体に負荷がかかると交感神経の働きが活発になるため、血圧が上がってしまうのです。体を動かすのであれば、リラックス効果の高いストレッチやウォーキングのほうがベター。有酸素運動も会話ができる程度のペース、もしくは早歩きで充分です。

Q8 昔から腕の血管が見えづらく、全然採血できない！

A 静脈の位置は個人差が大きいために起こります
採血は体の浅い部分を通る静脈で行いますが、位置には個人差があります。また、脂肪で静脈が埋もれて見えにくい場合もあるし、痩せていても採血が苦手で緊張した結果、交感神経が優位になり、血管が収縮して見えない可能性も。