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巻き肩とは?チェックリストで確認し、原因とリスクを理解しよう。

姿勢の三大悩みのひとつ、巻き肩について、スポーツドクターで整形外科医の中村格子さんとパーソナルトレーナーのKAORUさんに話を聞きました。

イラストレーション・小林マキ 文・小沢緑子

巻き肩|肩コリのほか、強い食いしばりも。

「巻き肩は肩の位置が前方にずれ込んだ状態。座って後ろで組んだ手を上げたとき、巻き肩だと腰まで上がりません。一度チェックをしてみてください(下イラスト)」(中村さん)

日常生活では体の前側で胸をすくめながら行う作業が多く胸の筋肉が硬く縮みやすくなる傾向があるというが、「今は長時間同じ姿勢のまま、デスクワークやパソコン作業をすることが多いのもなりやすい原因に。肩コリのほか、呼吸が浅くなったり、食いしばりが強くなることもあります」(中村さん)。

また、最近はスマホを片手で持ってその手の親指だけで操作をする人も多く、手指や手首、ひじに多大な負担がかかっていることも見過ごせない理由のひとつという。

「重いバッグを持ったり肩によくかけたり、あまり歩かず車を運転することが多い人にも巻き肩が見受けられます。胸が縮こまった姿勢だと関節の可動域が狭くなり動作やしぐさに若々しさが失われがちで、美容面においてもマイナスです」(KAORUさん)

CHECK!

□ デスクワークが中心。
□ パソコン作業が多い。
□ 気づくと前かがみになっている。
□ 重いバッグをよく肩にかける。
□ 日常的に呼吸が浅い気がする。
□ 食いしばりが強い。

後ろで組んだ手が上に上がらなければ巻き肩。腰あたりまで上がれば問題ない。
後ろで組んだ手が上に上がらなければ巻き肩。腰あたりまで上がれば問題ない。

巻き肩を防ぐには、前側に入った肩を後ろに戻す肩甲骨ストレッチ(下イラスト)。

「脇は締めてひじは固定して行うのがコツ。椅子に座りながらでもできるので、デスクワークの合間にもおすすめです」(中村さん)

簡単リセット!

肩甲骨を動かすストレッチ

背筋を伸ばし、両ひじを脇腹にぴったりつけ小さい前ならえの姿勢を作る。目線は正面、脇は締めてひじの位置を固定し、手首は反らさずに、手を外側に向かって60度くらいまで開く。

巻き肩とは?チェックリストで確認し、原因とリスクを理解しよう。

放っておくと…次第に腕に違和感が出て痛みも。

「巻き肩は肩コリだけでなく、上腕二頭筋長頭腱炎 (じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)を引き起こすことも」(中村さん)

上腕二頭筋は肩からひじにかけての“力こぶ”を作るときに使う筋肉で、その一部の腱に炎症や痛みが生じるという。

「巻き肩であることに加え、スマホやパソコンを使いすぎると、手指や手首、腕に負担が増すことも原因です。次第に腕に違和感が出てきて、荷物を持とうとしたり、腕を上げようとすると痛くて上がらないこともあります」

もともと肩関節は上腕骨が肩甲骨のくぼみに入り込む構造で、擦れる刺激に弱いうえ、接続部がずれやすく損傷しやすいという。

「巻き肩由来の痛みは腱が擦り切れるような現象で起きるため、腱の周りに水がたまったり、痛みがだんだん強くなると夜も眠れないことが。そこまで悪化すると一朝一夕には治らず、時間をかけて治療をします。日頃からストレッチなどでコリをほぐして、肩の位置を修正していきましょう」

  • 中村格子

    中村格子 さん (なかむら・かくこ)

    整形外科医

    「Dr.KAKUKO スポーツクリニック」院長。多くのアスリートを支える。監修本『硬い体をほぐす かんたんストレッチ』ほか著書多数。

  • KAORU

    KAORU さん (かおる)

    パーソナルトレーナー、 姿勢アナリスト

    「STUDIO Apro」主宰。女優やモデルも信頼を寄せる姿勢分析を基本にした独自メソッドで人気。「姿勢アナリスト(R)」資格講座を開講し、後進も育成中。

『クロワッサン』1110号より

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