王道のフラット靴、ローファーの憧れブランドを楽しむ【大沼こずえの「ずっとの、おしゃれ」】
毎月1つのテーマで、装う楽しさを再発見します。
撮影・小川真輝
王道のフラット靴で伝統を存分に楽しむ。
こんにちは。スタイリストの大沼こずえです。
10代の頃から制服、さらにはアメカジ旋風の時代を経て、ローファーは常になにかと身近な存在です。コイン、タッセルなどあれど、王道はシンプルなブラックレザーで、正統派なフォルム。であれば、憧れはやはり〈チャーチ〉の一足ということになりましょう。
創業150年、イギリスの高級革靴の代名詞的なブランドです。機能性と美しさを併せ持つレザーは特別なもの。
雨に強いのは創業地の気候に即していたのでしょうが、扱いやすさという意味では世界中のどの地域でもありがたいことです。
最近はファッションシューズとしての地位も確立され、伝統だけでない魅力もたっぷり。技術に裏打ちされた品質と、遊び心のあるデザインの融合は独特です。写真左側の新作は一見トラッドなローファーですが、ソールが厚底! 格式と茶目っ気のバランスが絶妙なのです。
「一生もの」という言葉、高価なものを買うときの言い訳でおなじみですが、〈チャーチ〉に関しては実現可能。適切なケアで経年変化とともにずっと輝きます。
革靴ですから履いたその日にスイスイ歩ける、というわけではありませんが、誠実に履けば、必ずしっくり馴染みます。英国紳士とお互い歩み寄り、少しずつ仲を深めながら数十年過ごす。そんな楽しみもいいものです。
『クロワッサン』1102号より