すき間には要注意!医師に聞いたマスク選びの基準。【クロワッサンライターの身になる話】
文・韮澤恵理
肌とマスクにすき間ができない形とサイズを選んで。
風邪やインフルエンザだけでなく、コロナの感染対策にもマスクをするのが必須になりました。以前は漠然とマスクを選んでいましたが、できるだけ効果のあるものを使いたいのに、どれがいいのかよくわかりません。
横浜南共済病院の呼吸器内科で感染制御室室長の高橋健一さんに伺うと、「大事なのはすき間がないもの選ぶことです」と意外なお答え。マスクを通過する飛沫の量より、すき間から出入りする菌やウイルスに気を配るほうが大切だといいます。「特に拡散するのは口からが多く、感染するのは口からも鼻からも」。鼻出しマスクは、本人の感染リスクが高くなるのが特徴だそう。
「チェックポイントは、鼻のラインにマスクがしっかり沿っていること、あごまでしっかりカバーできていること、頰のわきなどにすき間がないことです。不織布マスクならノーズワイヤーできちんと鼻に合わせられているかを確認。立体型なら自分の顔の凹凸に合っていて、ちょうどいい大きさのものを選ぶのが大切です。不織布マスクは層になっていて、裏表があるので間違わないように確認を」
ちなみに、不織布マスクの表裏をゴム紐のついている面を手がかりにしている方がいますが、メーカーごとにルールが違うのでおすすめできません。箱や袋に注意書きやメーカーのホームページなどで確認してみましょう。
不織布マスクは優秀。でも、過信は禁物です。
様々な素材のマスクが手に入りますが、どれを選ぶべきか悩みます。
「そもそも、一般用のマスクは医療用と違い、素材自体には完全にウイルスカット効果が期待できるわけではありません。通常の呼吸では、薬局やドラッグストアなどで販売されているマスクなら、素材別の違いはそれほどはありません。ただし、海外製品や手作り品は、どの程度の予防効果が得られるのかはまちまちです」
ただ、飛沫に関しては素材の違いが出るようで注意が必要。
「通過性の高い布やウレタンマスクのほうが、不織布のマスクに比べて飛沫を吸い込んだり、拡散する量が多いことがわかっています。吸い込む量、飛び散る量が数字で比較され、不織布マスクがウレタンマスクや布マスクより優れていることばかりが注目を集めていますが、ちょっと待って。不織布マスクをしていても、咳やくしゃみをすればかなりの飛沫が飛散しているのは、富岳のシミュレーション映像を見てもわかるはず。不織布を選びさえすれば大丈夫と考えるのは危険です」
どれがいい、どれがだめというよりも、場面に合ったマスクを身につけるほうが負担が少ないですね。問題なのはくしゃみや咳をする時。どんなマスクをしていても、飛沫が飛び散りますから、咳やくしゃみが出そう時は、ハンドタオルやハンカチを口元に当て、飛沫が飛ばないようにするほうが、ずっとマナーに合うのでは。
不織布マスク、洗って使用にデメリットが…。
私は、密になる交通機関を利用するときや、会話の必要があるときは不織布マスクをし、ほとんど話をしない外出や買い物では布の立体マスクを使っています。こうすると、肌への負担も少なく、使い捨てマスクを捨てる回数も減り、エコなのも気に入っています。
ちなみに、マスク不足の頃に広まった不織布マスクを洗って使う方法について高橋さんに伺うと「静電気による菌やウイルスを遮る効果が落ちてしまうことと、不織布の密度にムラができてしまうため、効果は低下します」とのこと。
布やウレタンのマスクは使ったら中性洗剤でしっかり洗うこと。界面活性剤にはウイルスを殺す作用があるので、洗濯用の洗剤などを使います。気になるときは塩素系漂白剤を併用して15分ほど浸けてから、よくすすぐと効果的。もみ洗いやねじり絞りは生地を傷めるので避けたほうがいいとされています。
外出から戻ったら手洗いをするついでに、洗面所でマスクの洗濯まで済ませてしまえば負担になりませんね。
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