心地いい暮らしが買える店
清澄白河「ババグーリ」
クロワッサン編集部がおすすめする「心地いい暮らしが買える店」。今回は明るく開放的な空間で、手仕事の風合いを感じられる品々が並ぶ「Babaghuri」を紹介します。
清澄庭園や東京都現代美術館を擁し、緑の多い清澄周辺は、新店のオープンが続く注目の街。その先駆けともいえるババグーリ本店は2006年に誕生した。
「ババグーリ」とはインドのグジャラート地方で採取される瑪瑙(めのう)の呼び名だ。創業者であるヨーガン レールさんが、もとは倉庫街のスタジオだった古い建物を、大きな窓から光が差し込む明るい社屋にリノベーションした。
天井が高く、広々とした空間にゆったりと並ぶのは、衣・食・住すべてを心地よくしてくれる手仕事のもの。手つむぎや手織り、草木染めの技術で作られる服をはじめとして、ていねいに作られた品に触れることができる。
ひとつひとつ表情の違う木彫りのスツール。
沖縄のヨーガンレールの農園で無農薬栽培したレモングラスのお茶。
上質な糸で紡がれたリトアニアのリネン。
打ち出した銅の鍋や、南部鉄の日常の道具。
緻密な美しさがありながらも、どこか素朴で温かいモロッコのアルガンオイル、ウガンダのシアバターなど、天然成分のみで作られたスキンケアアイテムの中には、上質で安心なうえに環境保護や現地の生産者の人たちの生活支援に役立つものもある。
「ヨーガン レールは旅が好きで、どこに行っても人びとの手仕事にインスパイアされていましたね。また自然への尊敬の念があって、最後には土に還せるものを選んで作りたいといつも話していました。ババグーリはそんなコンセプトを大切に、自分たちがあったらいいなと思っているものを職人さんと一緒に作っているんです」
そう話すのは、ヨーガン レールさんと一緒にババグーリの立ち上げから関わった店長の水口伸子さん。
「人柄は温かいけれど、美意識に妥協はなかったですね。ものをひとつ置くときも、よさを最大に引き出せるように、それでいてさりげなく見えるようわずか1㎝に神経を使っていました」と1年半前に急逝したヨーガン レールさんのエピソードを語る。
いいものを、手入れをしながら大事に使い続ける楽しみ。質のいい天然素材のワンピースやシャツは、古くなっても部屋着にしたりクッションカバーに作り替えたり、愛着があってなかなか捨てられません、と笑う水口さん。
大人のライフスタイルにふさわしい、心地よいもの、心を豊かにしてくれるものと出合えるショップだ。
Babaghuri 本店
東京都江東区清澄3-1-7
営業時間:11時~19時
不定休
『クロワッサン』921号(2016年3月10日号)より