肌トラブルの原因は洗顔にあった!
撮影・青木和義 イラストレーション・坂本康子 文・石塚覚子
高いスキンケア品を使って毎日お手入れしているのに、肌の乾燥がとまらない、肌が敏感に傾きやすい、くすみがち、小ジワが気になる。こうした肌悩みを抱えている女性のほとんどは、その本当の原因に気づいていないと吉木伸子さんは言います。
「あらゆるスキンケアトラブルの基本にあるのが、実はクレンジングなんです。間違ったクレンジングで肌のうるおいを取り過ぎてしまうことでバリア機能を低下させ、乾燥肌や敏感肌を自ら作ってしまっている。そのことに、皆さん気づいていなくて。最近は、メイクをすっきり簡単に落とす洗浄力の強いクレンジング料が多く、知らないうちに肌を傷めてしまう女性が増えています」
そんな肌の乾燥とクレンジング&洗顔の因果関係を語るのに、はずせないのが〝ダブル洗顔〟。肌のうるおいを取り過ぎないためには、〝ダブル洗顔〟はしないという人もなくないなか、吉木さんは皮膚科医として〝ダブル洗顔〟を推奨している。
「クレンジング料には、メイクアップと混ざり合って肌から浮かせるという役割があります。これで半分ぐらいの汚れは落ちるのですが、クレンジング料とメイクが混ざった油分や余分な皮脂は、すすいでも完ぺきには落とせません。そこで、泡洗顔が必要となってくるのです。洗顔料は、肌に残った油分や余分な皮脂をすっきり落として肌をリセットしてくれます。ここで洗顔料を使わず、油分や皮脂を肌に残したままにしてしまうと、肌は老化のスピードをぐっと速めてしまうのです」
クレンジングと洗顔がワンステップで済んでしまうという洗顔料も手軽で人気を集めているが、うるおいを取り過ぎるといった肌への負担はないのだろうか?
「肌にやさしいのはクレンジングと洗顔を分けた本来の〝ダブル洗顔〟です。メイクと皮脂汚れを一度に落とすためには強い洗浄成分が必要なので、ワンステップタイプの洗顔料はどうしても洗浄力が強め。そうすると、やはり肌には負担がかかってしまうのです」
Tゾーンになじませる
500円玉大のクレンジング料を手にとり、半分の量を皮脂分泌の多いTゾーンにのせ、指の腹で軽くメイクとなじませる。
Uゾーンになじませる
残りのさらに半分の量のクレンジング料を頬などのUゾーンに伸ばし、生卵を持つときぐらいの力加減でメイクとなじませる。
目 元・口元になじませる
顔のなかで、もっとも皮膚が薄くて弱い目元や口元に、残りすべてのクレンジング料を伸ばしてメイクとなじませる。
人肌程度のぬるま湯で手早くさっと洗い流す
両手ですくったたっぷりのぬるま湯に顔をつけるようにし、こすらないよう気をつけながらすすぐ。このあとは、すぐ洗顔へ。
正しいクレンジング&洗顔方法
クレンジングは手早く30秒以内におららせ、残った汚れは洗顔料でオフ。
クレンジングの役割は、肌に密着したメイクを落としやすく浮き上がらせること。洗浄力の強いクレンジング料に長時間さらされ、ごしごしこすって摩擦が増えることで、肌に負担がかかってしまう。「クレンジングで落ちなかった汚れは洗顔料で落とし、肌への負担は最小限にしましょう」
クリームやジェルタイプの硬めのテクスチャーのクレンジングと洗顔用固形石鹼がベター。
クレンジング料は、肌への摩擦を抑えて効率よくメイクを浮き上がらせる硬めのテクスチャーのクリームタイプやジェルタイプを。洗顔料は、肌のうるおいを奪う界面活性剤を多く含まず、ペーストタイプにありがちな量の使い過ぎを避けられる洗顔用固形石鹼がおすすめです。
日焼け止めにパウダー程度の薄化粧なら必ずしもダブル洗顔はしなくてもいい。
肌へのフィット感が高いファンデーションを使ったメイクを落とすには、クレンジング料は欠かせず、ダブル洗顔は必須だが、日焼け止めにパウダーを重ねた程度の薄化粧なら、洗顔料だけでもOK。「ただし、紫外線カット効果の低い薄化粧は、肌老化の一因となることをお忘れなく。
クレンジング料は手でやさしくメイクになじませて。コットンで拭き取るのはNG。
肌に負担をかけないクレンジングの最大ポイントは、摩擦を最小限に抑えること。「それには、クッション性の高いクレンジング料を手でやさしくなじませることが大切」。コットンを使う拭き取りクレンジングは手軽だが、摩擦による刺激が黒ずみの原因となるので避けたほうがベター。
『クロワッサン』944号より
●吉木伸子さん 皮膚科医/「よしき皮膚科クリニック銀座」院長。正しいスキンケア指南の著書を数多く執筆。http://yoshiki-hifuka.com/