胃腸を守って心身を整える、4つの生活習慣とセルフケア。
撮影・黒川ひろみ 文・新田 草子
まずはチェックリストで、不調のタイプを判断。
胃腸のトラブルの原因は、大きく分けて「ストレス」「加齢」「胃腸虚弱」「慢性疲労」の4つ。それぞれに特徴的な症状や生活習慣を集めた上の4つのチェックリストで、まずはどのタイプに当てはまるかを判断します。
今回試してくれたのは、クロワッサン倶楽部のメンバー、古庄香哉さん。
建設コンサルタントや大学職員などを経て退職。その後結婚し、現在は育児に専念中。息子の克貴くん(2歳)と夫の3人暮らし。
「仕事をしていた頃は疲れから食欲がなくなることも多くて、一時期、薬用養命酒にお世話になっていました。その後はしばらく落ち着いていたのですが、最近、また胃もたれを起こすことが増えてきて。食事もなるべくバランスよく食べるなど気をつけているつもりですが、いまひとつすっきりしません。何となくやり過ごしながら、原因がはっきりしないのでもやもやしています」
テストの結果、もっとも多くチェックが付いたのが、「精神的なストレスによる胃腸症状」。11項目中7項目が該当し、古庄さんは、ストレスから胃腸のトラブルを生じていることがわかりました。
「あるある、ということばかりです。胃もたれするし、胸焼けも悩み。みんな、ストレスから来ていたんですね」
胃腸を司る“脾”の働きが滞ることで、さまざまな不調に。
古庄さんも当てはまった「ストレスタイプ」は、心配や悩みごとなど精神的なストレスから胃腸の不調を起こしやすいことが特徴。異動や引っ越しなど生活環境の変化にも影響を受けやすく、とくに女性は妊娠や出産などのイベントによるホルモンバランスの変化が関係することも少なくありません。
「言われてみると、子どもを産んでから性格が変わったように思います。子どもは可愛いですが、予想のつかない動きをするのでいつも気を張っていなければならず、昼も夜も緊張の連続。以前は自分でも穏やかなタイプだったと思うのですが、細かいことで主人につっかかることが増えたかも……。脱いだ服をそのへんに置いておかないで、とか(笑)」
ストレスを受けると胃腸に不具合が起きるという仕組みには、自律神経が深く関係しています。自律神経は呼吸や消化など体の基本的な機能を司る神経ですが、ストレスがかかると働きがアンバランスになり、結果、胃腸の働きにも不調を生じてしまうのです。
一方で「脾(ひ)」は肌や筋肉にも関係するため、脾の働きが滞ることで肌荒れや口内炎、肩こりが起こりやすくなると考えます。また、甘い物を無性に食べたくなるのもこのタイプの特徴。
東洋医学の世界では体を「肝」や「腎」など5つの機能に分けて考えますが、ストレスはこのうち、自律神経を調整する「肝」の働きを乱し、それが胃腸をコントロールする「脾」に悪影響を及ぼすととらえます。「肝」は血や気(エネルギー)の流れにも関わるので、そこに不調が生じると、冷えや、イライラなどメンタルトラブルの原因にも。
甘味は「脾」の働きを補うものであるため、ストレスを受けると甘い物が欲しくなってしまうのです。つい食べ過ぎると、それがさらに胃腸の負担に。
「甘い物、確かに食べたくなります! 食欲にアップダウンがあるのも“脾”の働きが関係しているんですね。今まで何となくイライラしているせいだろうな、と感じることはありましたが、ストレスがいろんなところに影響するしくみがわかって、これだったんだと納得しました。東洋医学、興味深いです」
ストレスは胃腸の大敵ですが、とはいえ、すべて避けるのは難しいのが現代社会。胃の不快感が現れる「機能性ディスペプシア」や、下痢と便秘を繰り返す「過敏性腸症候群」など、検査では異常がないけれどストレスが原因とされる胃腸疾患も増えています。日々の不調、「仕方ない」と受け流さずに、セルフケアを始めましょう。