仕事でミスをした顛末書の書き方と雛形。
[職場]報告書は簡潔に、礼状には感謝を前面に。その使い分けが大切。
社会人として書く機会のある文書は2種類。1つは組織向けのワープロソフトで書く報告書の類、もう1つは個人相手に自筆で書く手紙。
前者で大切なのは、社内で回覧される前提で書くということ。直属の上司だけでなく、状況を知らない社内の上層部にまで回ることを前提に、個人的な感情は極力抜きにして、客観的に書くことが必要です。
後者の場合は、その手紙の本来の用途が、ビジネス不成立の報告や謝罪の意味合いを持つものであったとしても、お礼状としての気持ちを込めること。
「相手が労力を割いて、この件に関わってくれたことへの感謝」を前面に出して書くことがポイント。
アフターファイブの懇親会の案内は、少しくだけた文章で、楽しげな雰囲気を連想させるよう心がけて。
仕事でミスをした顛末書。
【ここがポイント】無駄を省いて報告すべき事柄を冷静に説明。
仕事上のトラブルやミスを報告するのが顛末書。「いつ・どこで・なぜ・どのようなことが起こったか」「損害の状況」「初動の対応と現況」「今後の対応策」を簡潔に記す必要があります。過度な言い訳はせず、今後の対策に力を入れて書くことで、仕事への真摯さをさりげなくアピール。
赤枠内「同パンフレットの印刷工程直前に〜」箇所の理由のバリエーション
「おしゃれモード社」加藤様との最終打ち合わせにて、モデルのみの写真とモデルとネコの写真の2枚を撮影し検討、モデルのみの写真が採用され、ネコの入った写真は営業が没写真として保管した。同パンフレットの印刷工程直前に、加藤様から「ネコのほうの写真に」と差し替えの連絡メールを受けた黒和が、以前に受け取り保存してあったネコのみが写った写真と間違えた。営業部を通さずの急遽のご指示であり、営業部でも差し替えの指示のあったことを把握していなかった。
◎テンプレート
代表取締役社長 高橋和夫様
平成30年6月11日
顛末書
広告製作部 黒和賛子
このたびの「おしゃれモード社」宣伝パンフレット製作における、写真取り違え 事故に関しまして、原因究明と、再発防止のための対策を講じることができま したので、下記にご報告申し上げます。
記
1.問題の発覚
平成30年6月4日 クライアントである「おしゃれモード社」広報担当者・加藤陽子様より 営業担当者が届けた印刷見本お渡し時に発覚、即時ご連絡があった。
2.問題の内容
我が社製作の同社の宣伝パンフレット表紙、春の新製品の写真が クライアント指示による差し替えのものと違ったものになっていた。
3.問題の原因
同パンフレットの印刷工程直前に、「おしゃれモード社」加藤様から製作担 当の黒和に宛て、画像Aを「第2案へ」と写真差し替えの連絡メールをいた だいた。加藤様と担当営業との最終打ち合わせにて第2案は画像Dとなっ ていたが、画像Aに次ぐ第2案は画像Bと解釈した黒和が差し替える写真を間違えた 。営業部を通さず の急遽のご指示であり、営業部でも差し替えの指示のあったことを把握していなかった。
4.損害
印刷会社の概算によると、初期印刷50部、および版下差し替えにより、 約20万円の損害とのことである。
5.初動の対応
印刷会社に確認ののち、営業担当とともにクライアントを訪れて謝罪し、 納期を1週間遅れということでご納得いただいた。
6.今後の対策
製作時、特に印刷の最終工程においては、クライアントおよび社内の営業担当者との連絡をより密にし、再三・再四の確認を心がける。
多大な迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。 二度とこのようなことが起こらぬよう徹底したいと思います。
以上
※レイアウトは上画像を参考に調整が必要
亀井ゆかり(かめい・ゆかり)●手紙コンサルタント。大手企業の役員秘書を経て手紙代筆業に従事。代筆した手紙は30万通以上。著書に『文豪に学ぶ超一流の手紙術』(サンマーク出版)など。
『クロワッサン』975号より
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