だが、一時期本気で縁を切ることも考えたというこの父が、同時になんとも魅力的な人物なのだ。戦時中のつらい話ですら笑い飛ばし、人を一刀両断で見切らない。「オレオレガチ」と友人が名付けた、娘にお金を無心する電話ですら、時にウイットに富み、どこか憎めない。確かに女性にモテそうだ。
「素直で愛嬌があるのが女性受けするんでしょう。そして金があろうがなかろうが、すごく人生を楽しんでる。そこは素晴らしいなと」
対するスーさんはいじらしく、「私は甘い、甘すぎる」とたびたび自戒しながらも「振る袖があれば」できる範囲の援助を惜しまない。