「台所は、賞味期限切れの食品や劣化した道具など、すぐに捨てる決心がつくものが多く、取捨選択の訓練に適した場所。結果が出やすいうえに、家事の手際が格段によくなるので、片づけ初心者におすすめです」(中山さん)
今回、実際に中山さんが指導したMさんは、この3月に結婚したばかり。新居は、もともと家族5人で住んでいた夫の実家。兄弟が独立し、数年前に両親を亡くした後、夫がひとり暮らしをしていたマンションだ。Mさん夫妻には充分な広さだが、家族の使っていたものがだいぶ残っており、なんとなく狭い思いで暮らしているという。
「コンロには、よく使う鍋が出しっぱなし。他の鍋を使う時はどこかに動かさないといけないので手間がかかってしまう。ワゴンがある分、狭くて収納が使えないのも気になる。すっきりさせて時短家事を目指したい」と目標を設定したMさん。さあ、作業開始!
中山流片づけの手順は、いまあるものを全部出すことから始まる。
「なにがどれだけあるか、把握することで必要なものを明確に」(中山さん)
グループごとに分類すると、なぜこんなに同じアイテムを持っているのか、自分でも不思議なほど。「まだ使える」と思うから、つい取っておいてしまうが、「使える」ではなく、「使う」か「使わない」かで仕分けするのが鍵。
「『これから使うと思う?』がキーワード。『使えるけれど、使わないかも』は『捨てる』。過去にひきずられないことが大切です」(中山さん)
リフォームが必要と考えていたというケースでも、
「その前に『捨てる』ことで必要なくなることが多いんです」(中山さん)
Mさん宅の台所も、上写真のとおりの大変身。使うものだけを、使いやすい位置に収納したことで、見違えるように機能的ですっきり! なにをどう判断して捨てることにしたのか、ポイントは以下にまとめた。
1.調味料やストック食材の賞味期限切れを捨てる。
棚や引き出しの中を確認すると、奥から何年も前の乾物が出てきたなどということも。「食材は賞味期限が記載されていて、なにより捨てる判断がラク。ここから取りかかりましょう」(中山さん)賞味期限内だったとしても、開封してあると足が早いので要注意。調味料や油はどんどん酸化するし、粉ものには虫がつく心配も。使いそうもないなら、これを機に捨ててしまおう。「収納をコンパクトにするために、外箱や外袋を捨ててしまうのも有効。その場合は、ラベルに賞味期限を書き写しておくことを忘れずに!」(中山さん)