チョコを食べると痩せるは本当? ダイエットの新常識Q&A
撮影・森山祐子 文・石飛カノ
Q.間食でチョコを食べると痩せる。
A.本当
チョコレートといえば、誰もが甘くて高カロリーのお菓子というイメージを抱きがち。ところが最近、その健康効果が話題になっているという。腸内環境や脂肪肝の改善、そしてダイエット効果などだ。
ダイエットの敵のはずのチョコにダイエット効果? と疑問に思う人も少なくないはず。確かに市販のミルクチョコレートは1枚(65ℊ)約360キロカロリー、ごはん2杯分に相当する。けれど、問題はカロリーではなく糖質量だと栗原さんは言う。
ポイントは糖質の少ない高カカオのチョコを選ぶこと。
「高カカオチョコの場合、1箱に含まれる糖質は14ℊ程度。ごはん1杯の糖質は約55g、おせんべい1枚の糖質は約16.5ℊですから、かなりの低糖質食品と言えます」
さらに、注目すべきは食物繊維の豊富さ。高カカオチョコレートにはカカオ豆由来の食物繊維がたっぷり入っていて、食前や間食に取り入れると、食物繊維の働きで血糖値の上昇を防ぐ効果が期待できる。高カカオチョコ100ℊ中に含まれる食物繊維の量はごぼうのそれに匹敵する。
上のグラフのように、食後の血糖値の上昇率を見てみると、糖質の多いホワイトチョコレートに比べ、ダークチョコレートを食前に食べた場合の食後の血糖値の上昇は緩やか。栗原さんによると、ダークチョコレートより高カカオのカカオ70%以上のチョコなら、さらに血糖値の上昇を抑える効果が期待できるという。
「おすすめはベジファーストならぬチョコファーストです。朝食の前、午前10時、昼食の前、午後3時、夕食の前と1日5回、高カカオチョコを1かけずつ食べる。3カ月以上続けることで体重は徐々に減っていくはずです」
Q.コレステロールは悪者じゃない?
A.本当
動脈硬化を促す原因として、長らく悪者扱いされてきたコレステロール。レバーやバター、肉の脂、エビやイクラなどコレステロールを多く含む食品は、たまに少量食べることが推奨され、卵は1日1個までが基本。
でも、実は血中コレステロールのほとんどは肝臓で作られていて、食事の影響はそれほど受けないことはかなり前からわかっていたこと。
そして2015年、アメリカの心臓病学会が「コレステロールの摂取制限は必要ない」と発表したのに続き、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」において食事で摂るコレステロールの基準を撤廃。続いて日本動脈硬化学会も健康な人に関してはコレステロールの制限は必要ないと発表した。
「これまで悪玉とされてきたLDLコレステロールは細胞膜やホルモンの材料になります。とくに中年以降はコレステロールが高いほうが長生きすることがわかっています。私はもともと、血中の中性脂肪は問題としても、コレステロールはまったく問題ないという立場をとっていましたが、ようやくここにきて基準が見直されてひと安心しています。というのも、肉の脂がダメ、卵がダメと制限されることで、体に必要なタンパク質の摂取量がどんどん減っていたからです」
コレステロール制限とダイエット志向が合体して、タンパク質不足になっていたニッポン人。これからは正しい知識をもって体に必要な栄養素を取り入れたい。ちなみに、健康診断によるLDLコレステロールの新基準は上に示したとおり。これなら、肉も卵も必要以上に我慢しなくていいかも。
『クロワッサン』941号より
●栗原毅さん 栗原クリニック 東京・日本橋院長/東京女子医科大学教授、慶應義塾大学教授を経て、現職。肝臓や消化器など内科全般の診療、およびメタボ指導に努める。
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