【量、質、時間、食べ合わせに気を付けて】筋肉をつけるための糖質講座
イラストレーション・山里美紀子 文・保手濱奈美
糖質の<量>
糖質を摂る際に気をつけたいのが、“適度な”量。「筋肉をつけるために糖質の摂取は不可欠ですが、摂りすぎも肥満や糖尿病のリスクが高まるため要注意です。しかし、現状は『一日の理想的な摂取量』といったエビデンスがないため、はっきりとした数値を提示すことができません。ただ、一つ言えるのは、一日3食、炭水化物の主食を摂れば、過不足はないでしょう」と、東京都栄養士会会長の西村一弘さん。
また、自分のBMI(体重を身長〈m〉の2乗で割った肥満度を表す指標)も糖質摂取の目安に。「40代以上の女性は、20~25が健康的な数値。その間にキープできている場合は、摂りすぎや不足ということはないはず」
主な主食の、1食のめやす量
ご飯
茶碗に軽く1杯(150g)
小柄~平均的な体格の人は150g程度。身長が高く、体格もがっしりしている人なら200gくらいでもOK。
パン
8枚切り2枚
薄切りの8枚切りの食パン2枚が、ごはん150gくらいに相当。6枚切り2枚が、ごはん200gくらい。
ゆでうどん
1人前(100~180g)
うどんは1玉180g。パスタの乾麺なら1人前80~100g程度。味付けで糖質過多にならないように注意。
春雨
どんぶり1杯(乾麺 25g)
春雨に含まれる糖質は、でんぷん。糖のなかでも血糖値が上がりにくく、エネルギー源としても優秀な食材。
さつまいも
小さめ1本
さつまいもは食物繊維が豊富なので、腸内環境の調整に有効。ただ、糖質が若干多いため、サイズは小さめに。
糖質の<質>
主食でいうと、パンよりご飯のほうが良質。「糖質そのものの質というより、それ以外の栄養素の比較によるもの。米や小麦には、炭水化物のほかにたんぱく質も含まれていますが、その質は米のほうが良いため、筋肉づくりに効果的。また、精製された食品より、玄米や全粒粉のパンといったホールフードのほうが、食物繊維などを多く含んでいるぶん、良質と言えます」
お菓子や果物といった甘いものも、良質な糖質の摂取に含まれるのだろうか。「お菓子の糖質は、血糖値の急上昇に繋がるので、おすすめできません。果物は、中性脂肪が高くなりやすい人は要注意です」
これってウソ? ホント?
Q. 精製されたものより、ホールフードがよいって本当?
A. 本当です。
ホールフードの栄養価の高さが、その理由。「食物繊維が豊富に含まれているため、血糖値の急上昇を抑えられます。また、ビタミンB群や、ミネラルなども含まれていることから、より健康的な食品と言えるでしょう」
Q. 糖質をお菓子で摂ってもいいですか?
A. いろんなリスクを考えると、NG
お菓子に使われる砂糖は消化吸収が早く、摂ると血糖値が急激に上がる。「糖尿病、心臓病、脳卒中などのリスクが上がります。見落としがちなのが和菓子。油がほぼ含まれていないぶん、洋菓子以上に血糖値が急上昇」
Q. 果物の糖質なら摂ってOK?
A. 自身の中性脂肪の値で判断
果物に含まれる糖の種類・果糖に注目。「果糖は肝臓で中性脂肪になりやすく、生活習慣病などのリスクを高めます。過去に検査をして、中性脂肪の数値が150mg/dLを超えたことがある人は、果物での糖質の摂取は控えめに」
糖質を摂る<時間>
糖質を摂るタイミングは朝、昼、晩が基本。「糖質は摂り溜めができません。例えば主食3食分を一度に摂ると、エネルギーとして消化しきれなかった糖質は、プールされることなく脂肪に変わってしまう。そのため、一度に消化しきれる量に分けて摂るのが鉄則です」
また、筋肉をつけたいときは、意外にも寝る前に糖質を摂るといいそう。「一日の中で、成長ホルモンの分泌量が最も多くなるのが睡眠時。そこに向けて、まずは筋トレをしましょう。その後、たんぱく質と糖質を摂って寝ます。すると、寝ている間に筋トレで傷ついた筋繊維の修復が行われ、効率的に筋肉量がアップ」
基本の摂り方
3食に分けて、決まった時間に摂る
朝はご飯、昼はパン、夜は麺など、「糖質の量」で紹介した主な主食と量を3食に分けて摂取。「糖質は、体内にたくさん溜めておくことができず、一度にエネルギーとして消化できる量も限られています。余った分が脂肪に変換されないよう、小分けにして摂りましょう」
筋肉をつけたいときの摂り方
夜、寝る前に筋トレし、その後にたんぱく質+糖質を摂る
筋肉づくりは、成長ホルモンが最も多く分泌される“寝てすぐ”のタイミングを狙い撃ち。「筋トレは、鍛えたい部位を中心に行うと効率的。糖質をたんぱく質と一緒に摂るのは、筋肉をつける際のエネルギー補給のため」
糖質とほかの食材との<食べ合わせ>
食事の際に、糖質を摂る順番で意識しておきたいこととは? 「血糖値を急激に上げないような順番で食べることが大切です。筋肉をつけるためには、たんぱく質の摂取が必須ですが、たんぱく質は血糖値の上昇が緩やかなので、最初に食べるのがおすすめ。次は食物繊維の働きで、糖質の吸収を抑える野菜。15分以上かけて食べたのち、最後に糖質を摂るのがベスト」
野菜以外にも、糖質をゆっくり吸収させる食材がある。「牛乳はその代表格。米など糖質の多いものと一緒に摂ると、それによる血糖値の上昇も緩やかにしてくれるのです。また、食物繊維が豊富な根菜も、糖質と好相性」
食べる順番
たんぱく質 → 野菜 → 糖質
血糖値の急上昇を抑え、たんぱく質を効果的に摂取するには、上記の順で食べるとよい。「血糖値という観点から見ると、たんぱく質のなかでも、肉より魚のほうがおすすめ。魚を先に食べると、後から食べる野菜や糖質による血糖値も上がりにくくなります。ただ短時間では効果がなく、最後の糖質までに15分以上かけて食べましょう」
一緒に摂るのにおすすめの食材
【牛乳】
1 杯200㎖を目安に。
牛乳は血糖値の上昇が穏やかで、さらに米など糖質の多い食材の血糖値の上昇を抑える働きも。「食前、食後に飲むのでも効果があります」
【根菜&きのこ、海藻類】
食物繊維をたっぷりと
糖質の吸収を抑える食物繊維が多く含まれるため、たっぷり摂りたい。「野菜なら、葉物よりも根菜が断然豊富。きのこや海藻類も食物繊維の宝庫」
『クロワッサン』1157号より
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