なぜ“血管は老化”するの?【健康の気になる川村エミコさんが、血管先生に聞きました】vol.2
撮影・阿部ケンヤ イラストレーション・浅妻健司 スタイリング・山崎由佳 文・吉川明子
右:川村エミコ(かわむら・えみこ)さん タレント。1979年、神奈川県生まれ。2008年、白鳥久美子さんとお笑いコンビ「たんぽぽ」を結成。趣味はこけし集め。温泉ソムリエアンバサダー
左:池谷敏郎(いけたに・としろう)さん 医師。1962年、東京都生まれ。医学博士、池谷医院院長。血圧と動脈硬化について研究し、多くのメディアで活躍。体脂肪率10%をキープ
そもそも“血管”って何ですか? どんな役割を果たすの?
池谷敏郎(以下、池谷) 血管には動脈、静脈、毛細血管の3種類があり、全部で約100億本、つなげると約10万km、地球2周半分の長さがあるんですよ。
川村エミコ(以下、川村) えええ! そんなに!!
池谷 人間は食べて栄養を摂り、呼吸して酸素を取り込みます。血管は酸素や栄養を全身に運ぶための通り道です。
川村 血管は道路みたいなもの?
池谷 そうです。まず酸素や栄養を含んだ血液は、ポンプである心臓から動脈を通って体の隅々へと運ばれます。動脈の末端は毛細血管となり、ここで酸素や栄養素が荷下ろしされ、二酸化炭素や老廃物などが積まれます。毛細血管は静脈へとつながっていて、静脈を通って血液が心臓へと戻されます。
川村 なるほど。動脈や静脈は幹線道路、毛細血管は荷物を受け渡しするポートのような場所なんですね。
“血管が若々しい”ってどんな状態のことを指すの?
池谷 若い血管は、血管壁がしなやかで広がりやすく、血管内壁が滑らかなのが特徴です。
川村 血管は柔らかいほうがいい、という話を聞いたことがあるような?
池谷 柔らかいというより、しなやかに開いて末端まで血液を運ぶ力、“血管力”のある血管が若いといえますね。
川村 人間も血管も、若い時のほうが、柔軟性があって、いろんなことに対応しやすいということですね!(笑)
池谷 血管は自律神経の命令によって、広がったり狭くなったりするのですが、この反応も若い血管のほうが良好です。
川村 歳を取ると反応が鈍るんですね。
池谷 若くていい血管であれば、酸素や栄養をたっぷり含んだ血液を体の隅隅まで状況に合わせて効率よく運ぶことができるため、全身の臓器や細胞も若々しくいられるのです。
しなやかで広がりやすく、血管内壁も滑らか。心臓から流れてきた血液の量や圧力を柔軟に受け止め、内壁に血液の塊(血栓)も生じにくく、血液を全身にスムーズに流すことができる
血管は年齢とともに老化する。硬く、血管壁が厚くなり、弾力性が失われていく。血管壁にプラーク(コブ)ができて内腔が狭くなり、血液の流れも悪くなる
なぜ“血管は老化”するの?
川村 先ほど“若い血管”という話が出ましたが、老化もするんでしょうか?
池谷 そうですね。避けられない原因は、加齢。血管の柔軟性が失われていきます。生活習慣や、心理的ストレスなども血管を老いさせる一因です。動脈硬化による血流の悪化が全身の機能の低下を招くことから、昔から「人は血管と共に老いる」といわれるのです。
川村 何歳頃から老化するんですか?
池谷 実は10代から始まっています。
川村 え、そんな早くからですか!?
池谷 女性の場合は、若い時は女性ホルモンのエストロゲンが血管を保護して動脈硬化を抑える働きを持つのでほぼ心配ないのですが、更年期以降に女性ホルモンが減ることで急速に老化します。加齢は避けられませんが、生活習慣の改善や、ストレスを減らすことで、進行を遅らせることはできます!
【血管が老化する原因】
加齢
本来血管は長持ちする臓器だが、他の器官と同様、加齢の影響もある。年齢を重ねるごとに弾力を失って硬くなりやすくなる。
生活習慣
食生活の乱れや運動不足が引き起こす高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、血管の老化を加速させ、結果血流も悪くなる。
ストレス
睡眠不足やイライラ、飲酒、喫煙などは大敵。ストレスホルモンのコルチゾールなどが分泌され、血管が収縮して血圧も上昇してしまう。
『クロワッサン』1154号より
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