観て、味わって――。エースホテル京都で開催の、柚木沙弥郎原画展で秋を堪能
文・三枝陽子
エースホテル京都で、染色家・柚木沙弥郎(ゆのき・さみろう)の原画展『旅の歓び、旅の色彩』が開催中です(2025年10月31日まで)。
2024年に101歳でこの世を去った柚木氏は、戦後間もない時期に出会った「民藝」に影響を受け、染色の道を歩み始めました。独自の鮮やかな色使いと、大胆な構図で表現された作品は、国内外の美術館に収蔵されるなど高く評価されています。今回の原画展では、ヨーロッパ、インド、日本各地を旅して出会った人々や風景から生まれた作品を中心に、その創造の軌跡を辿ることができます。
実はエースホテル京都との縁は深く、2020年の開業以来、ホテルロゴや客室アート、館内の暖簾など、ブランドを象徴する数々のビジュアルを柚木氏が手掛けてきました。今回の展覧会は、空間を彩るデザインと、旅の原画という二つの表現を通じて、その創作の息吹を楽しむことができる貴重な機会です。
また、京都市京セラ美術館で同時期に開催される特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」とも連携しているため、この二つの展示を通じて民藝と旅、そして芸術の繋がりをより深く掘り下げて楽しむこともできます。
さらに、展覧会の開催にあわせて提供される、ホテル内レストラン「KŌSA」での特別な企画「柚木沙弥郎と旅するアフタヌーンティー by エースホテル京都」も開催中。民藝を彷彿とさせる籠風のお重を開けると……、秋らしいあしらいとともに、小さな味覚が肩を寄せ合いまるで宝石箱のよう。京都の老舗「一保堂茶舗」の抹茶やほうじ茶に、旬のフルーツや秋の味覚を組み合わせたモクテルやスイーツも非常に魅力的ですが、柚木氏が訪れた国や地域をモチーフにした多彩なセイボリーがなんとも印象的。例えば、「ベネチア風景」という作品をイメージしたセイボリーであれば、色とりどりの野菜を使用した「ベネチア風エスカベッシュ」として表現されていたり。京都らしい和の味覚と共に、異国の香りが織り交ぜられているところに、エースホテルらしいエスプリ、そして柚木氏のクリエイティビティに対する敬意すらも感じることができます。
観覧券付きの宿泊プランも登場。京都市京セラ美術館での「民藝誕生100年」展もあわせて楽しむことができるので、秋の京都滞在をより豊かなものにしてくれます。
芸術、食、滞在がひとつにつながるエースホテル京都。柚木沙弥郎が残した色彩の世界を堪能しながら、心に残る京都の秋を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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