【粋な東京街歩き】ローカルバスでたどる“上野~谷中”の歴史&アートスポット
撮影・村上未知 文・鈴木恵美
東京国立博物館
日本の宝と建築物の数々を次世代へ継承
1872年、湯島聖堂大成殿で行われた博覧会に始まり、1882年に現在の場所で開館した日本で最も長い歴史をもつ博物館。帝室博物館と呼ばれていた時代から受け継がれてきた収蔵品は、国宝や重要文化財をはじめ約12万件にもおよぶ。上野の森に囲まれた広大な施設内には6つの展示館があり、一番の見どころは建物自体が重要文化財に指定されている本館。館内には縄文時代から江戸時代まで日本美術の流れをたどる展示が。7月19日から平成館で開催される特別展『江戸☆大奥』も、江戸好きは要注目。
特別展『江戸☆大奥』
大奥の歴史と文化を、衣装、道具など多彩な作品で紹介。絵師の楊洲周延が、大奥の女性たちの生活や行事を40場面の華やかな錦絵で表した『千代田の大奥』は、展示替えを行いながら会期中全場面が公開される。TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル) 開催期間7月19日~9月21日 観覧料一般前売券1,900円ほか
《上野東照宮》
江戸初期の煌びやかな佇まいが色濃く残る
1627年に創建された、徳川家康公を神として祀る神社。上野公園に鎮座し、石造りの明神大鳥居をくぐれば、境内の参道両側には諸国大名から寄進された石灯篭や青銅製灯篭などがずらり。唐門の奥に佇む金箔を贅沢に施した豪華絢爛な社殿は、1651年に3代将軍・家光公が造営替えしたもので、江戸の面影が残る。幾度の戦争や災害にも崩壊を免れてきたことから、強運、出世、勝利、健康長寿にご利益が。社殿の横にそびえる、上野の祖木といわれる樹齢約600年の大楠を眺めながらの一息は格別。
《新鶯亭》
昔ながらの茶屋で、名物の鶯だんごを
上野東照宮参拝後には、参道脇のこちらにもぜひ立ち寄りたい。1915年から4代続く甘味処で、木立に包まれた空間は居心地がよく、散策の合間の休憩にぴったりだ。創業当時から親しまれる鶯だんご(700円)は、小豆、白あん、抹茶あんの3個セット。非常に柔らかく、上品な甘さのこしあんが口の中で溶けていく。自家製の白みつをかけたあんみつ(700円)も人気。
《韋駄天》
作家の息吹が宿る、センスある器が並ぶ
谷中にある1616年創建の常在寺脇に、なんとも風情溢れる建物を発見。ここは店主の福田房江(下写真)さんが2003年に開店した和の器専門店。毎年夏に日本各地を巡り、直接買い付けてきた器を作り手の思いを伝えながら大切に販売。どの器も普段使いできるシンプルさがありつつ、作家の個性があふれるものばかり。照明や棚などの調度品も見事で、店内にいるだけでも感性が刺激されるはず。地下のギャラリーでも個展や展覧会が随時開催され、器のある暮らしの楽しみ方を広げてくれる。
《HAGISO》
象徴的な木造アパートを改修した複合施設
1701年に創建され、萩寺として親しまれてきた宗林寺。その境内に、1995年に建てられた木造アパート「萩荘」をリノベーションして、2013年から最小文化複合施設として活用。カフェ、ギャラリー、プライベートサロンなどが集まり、アパート時代の面影を残す建物内は自由に見学できる。ギャラリーでは現代アーティストによる展覧会を随時開催。カフェ『HAGI CAFE』では、サバサンド(1,000円)などの軽食のほか、種類豊富なドリンクを用意し、谷中の憩いのスポットとして多くの人で賑わう。
上野と谷中エリアを巡るなら台東区循環バス「めぐりん」の東西めぐりんルートが便利。
『クロワッサン』1145号より
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