どら焼きに団子、甘酒──時を超えて愛される江戸の食みやげ(甘味編)
撮影・濱津和貴 スタイリング・伊東朋恵 文・梅原加奈
『清寿軒』の大判どら焼き
行列必至。毎朝手焼きされる、ふっくら福々しいどら焼き
万延2(1861)年創業。北海道十勝産の小豆など良質の素材を吟味し、伝統の味を7代にわたり受け継ぐ。どら焼きは、ミキサーを使わず手作業で生地をこね、鉄板でひとつひとつ焼き上げる。商売繁盛の縁起を担ぐ「大福帳」の箱も粋。大判どら焼き6個入2,170円。
『向島 言問団子』の言問団子と言問最中
在原業平の和歌にちなむ、向島名物の和菓子
隅田川に架かる桜橋のすぐ近く、池波正太郎『鬼平犯科帳』シリーズにも登場する老舗店。名物は、店名と同じ〈言問団子〉で、黒は小豆餡、白は白餡、黄色はクチナシで色付けした求肥で味噌餡を包んだもの。串をささないのが店の伝統だ。もうひとつの名物は都鳥をかたどった〈言問最中〉。軽い食感の最中皮の中に黒と白のつぶし餡がたっぷり。言問団子6個入1,480円、言問最中1個320円。
『日本橋 長門』の半生菓子
色鮮やかな千代紙の箱に、季節の風情を詰め込んで
八代将軍吉宗の代に創業し、徳川家に菓子を献上していたという和菓子店。くず餅の〈久寿もち〉(890円)が人気だが、手土産にするなら1週間ほど日持ちする半生菓子もおすすめ。箱に行儀よく並ぶ9種の半生菓子は、四季折々に形や色、味が変わり、食感もさまざま。菓子を入れる木箱は千代紙を貼ったもので、こちらも季節に応じて柄が変わる。サイズ7種あり。千代ボール2,100円〜。
『糀屋三郎右衛門』の江戸の誉
砂糖不使用、無添加のお米だけでできた手づくり甘酒
天保期に茨城県で創業し、1939年から東京都練馬区中村に店を構える、都内で唯一の味噌蔵。江戸時代から変わらない味噌造り、麹造りを実直に守り続け、現在7代目を数える。代を重ねて研究を続け、出来上がった「白米こうじ」を使う甘酒は、糖度が40度以上。米本来の甘みを感じさせる濃厚な味わいだ。希釈して飲むほか、そのまま料理にも。500g 791円。
『クロワッサン』1145号より
広告