ニュージーランド登録栄養士のジェス・ソーンズさんに、キウイを使った簡単で美味しいレシピを教えてもらいました。
写真・文 斎藤理子
ニュージーランドの食生活には欠かせないキウイ。ヘルシーな食生活をサポートする栄養士のジェス・ソーンズさんのキウイを使ったレシピは、どれも手軽で美味しく取り入れやすいものばかり。ビーチやサーフィンを楽しみながらの、ゆったりとしたライフスタイルも素敵です。
ニュージーランドのスーパーマーケット事情を視察。豊かな食材に暮らしやすさが伝わってくる。
まずは、ジェスさんの案内で自宅近くのスーパーへ。ジェスさん愛用の〈フレッシュ・チョイス・パパモア〉は、2020年に〈ストア・オブ・ザ・イヤー〉を受賞した、国内でも著名な優良スーパーだそうです。野菜、果実、肉、魚、惣菜に至るまで、手頃な価格で高品質なものが手に入るとあり、遠くから通う人も多いそう。旬真っ盛りのキウイは、入口すぐ近くの一番目立つところに陳列されています。
畜産王国ニュージーランドらしく、肉の種類も非常に豊富。特に羊肉はさまざまな部位が販売されていて、さすが人口より羊の数の方が多いと言われる国だけあります。地元産を含めチーズの種類がたくさんあるのも、酪農王国ならでは。オーガニック野菜や食品も当たり前のように並んでいて、人々の食に対する意識の高さが窺われます。
海辺近くに建つ可愛い自宅での、心豊かでゆったりとしたライフスタイルを体感。
ジェスさんの自宅兼オフィスは、タウランガのパパモア・ビーチにあります。ここで〈Eatwise Nutrition(イートワイズ・ニュートリション)〉という会社を経営し、シンプルで分かりやすい栄養アドバイスを中心に、食に関するさまざまな活動をしています。休みの日には子供たちと目の前のビーチで遊んだり、サーフィンやバーベキューやキャンプをしたり。アウトドアをアクティブに楽しむライフスタイルです。
「ニュージーランドでは、健康に良い食べ物で、かつ便利なものが最近のトレンドになっています。健康志向ではあるけれど、利便性も欠かせないと思っている人が多いので、例えばスムージーやアサイーボウル、お寿司などが人気。プロティンパウダーやベジタブルパウダーといった機能性食品も定着しています」。1週間分の食材が家に届くフードボックスも需要が多く、特にレシピと一緒のものが好評なのだと解説します。地元産の持続可能でエシカルな食品を求める傾向が強くなりつつあるそうです。
栄養バランスが良いものを簡単に摂取できるとあれば、やはりキウイは欠かせないとジェスさん。「腸内環境を整え免疫力を高める効果が研究で判明しているキウイは、何もせずそのままで食べられる手軽な高機能食品です。ビタミンCはじめ10種類の栄養素がぎっしり詰まっていて、肉料理にも魚料理にもデザートにも合います。日々の食事に積極的に取り入れていきたい食材のひとつですね」。
前菜からデザートまで、キウイをたっぷりと使ったレシピをご紹介。
クッキング・デモンストレーションでは、前菜に〈海老のバーベキュー、キウイのサルサ添え〉、メインに〈ニュージーランド産ラムチョップ、キウイとフェタチーズのサラダ添え〉、デザートに〈パブロバ風キウイのパフェ〉の3種類を紹介。手際よく仕上げていきます。素材の良さを楽しむためにも、シンプルで作りやすいレシピを提唱しているというジェスさん。庭のバーベーキューグリルで調理することが多いそうですが、もちろんオーブンやグリルでもOK。3品とも大変美味でした。
【海老のバーベキュー、キウイのサルサ添え】
材料(4人分):海老500g、A[ニンニク2片、唐辛子1本、オリーブオイル大さじ2、ライム果汁小さじ2、塩・胡椒適量]、キウイサルサ[グリーンキウイ4個、サンゴールドキウイ4個、ニンニク1片、唐辛子1本、ライム果汁1個分、赤玉ねぎ1/4個、コリアンダーひとつまみ]
作り方 ①海老をAでマリネして数時間から一晩冷蔵庫に置く。②キウイの皮をむいて1cmくらいのさいころ形に切る。にんにく、唐辛子、赤玉ねぎをみじん切りして、ボウルに入れライム果汁と混ぜ合わせる。③ラップをして、冷蔵庫で冷やす。④串に海老5尾を刺し、狐色になるまで片面2分ずつグリルで焼く。フライパンでバターで焼いても可。⑤キウイサルサと海老を皿に盛り、食べる直前にコリアンダーを散らす。
【ニュージーランド産ラムチョップ、キウイとフェタチーズのサラダ添え】
〈キウイのサラダ〉
材料(6~8人分) グリーンキウイ2個、ルッコラ120g、チェリートマト100g、ミントの葉1/4カップ、ローストした松の実1/4カップ、フェタチーズ60g、A[オリーブオイル1/4カップ、バルサミコ酢大さじ2、メープルシロップ小さじ1、ディジョンマスタード小さじ1]
作り方 ①フライパンを中火にかけ、松の実を加えて焼き色がつくまで軽くあぶり、ボウルに移して冷ます。②キウイは皮をむき、スライスまたはさいの目に切る。チェリートマトは縦半分に切る。③大きめのサラダボウルに、キウイ、ルッコラ、チェリートマト、粗く切ったミント、フェタチーズを入れて軽く和える。松の実を散らす。④Aのすべての材料を瓶に入れ、シェイクして混ぜ合わせる。出来上がったら、サラダにかける。
〈ラムチョップ〉
材料(4人分) ラムチョップ8本、A[塩小さじ1/2、胡椒小さじ1/2、ニンニク1片、クミンパウダー小さじ 1/2、スイートパプリカパウダー小さじ1/2、コリアンダーパウダー小さじ1/2]
作り方 ① Aの材料をボウルに入れて混ぜ、ラム肉全体にまぶし、冷蔵庫で最低2時間、できれば一晩置く。②ラムをグリルなどで焼く。ミディアムレアでの場合、両面を約3分ずつ焼く。③ラムを皿に移し、アルミホイルでゆるく覆い、5分間休ませる。④皿に盛り、キウイとフェタチーズのサラダを添える。
【パブロバ風キウイのパフェ】
材料(1人分) サンゴールドキウイ1/2個、レモンカード大さじ1(市販品)、ギリシャヨーグルト1/4カップ、自家製ミニパブロバ(メレンゲ)1/4カップ(作り方は以下参照)、ホイップクリーム1/4カップ、デコレーション[ドライキウイ(サンゴールド)1切れ、パッションフルーツ大さじ1、ローズマリー1枝(各好みで)]
〈自家製メレンゲ(約16個分)〉
材料(約16個分) 卵白3個分、上白糖3/4カップ、コーンフラワー小さじ2、ホワイトビネガー小さじ1、バニラエッセンス小さじ1/2、塩ひとつまみ
作り方 ①オーブンを150度に予熱し、トレイにクッキングシートを敷く。②大きめのボウル(プラスチック製ではないもの)に卵白を入れ、やわらかいツノが立つまで泡立てる。③砂糖を1/4カップずつ加え、艶ととろみが出るまで10分以上泡立てる。④大きめのスプーンでコーンフラワー、ホワイトビネガー、バニラエッセンスを優しく混ぜる。⑤大きめのスプーンですくって、用意したトレイにのせ、20cm大の丸い山を作っていく。⑥オーブンに入れ、温度を120度まで下げたら外側がカリっとするまで、約1時間焼く。⑦オーブンの火を止め、そのままオーブン内に2時間放置して冷ます。
〈パフェ〉
作り方①グラスにレモンカード、ギリシャヨーグルト、パブロバの順に入れる。②キウイの皮をむいて薄くスライスかさいの目に切り、グラスに入れてホイップクリームをのせる。③パッションフルーツ、ローズマリー1枝、ドライキウイ1切れを飾る。食べる時まで冷蔵庫で冷やしておく。
ヘルシーな食生活を提唱し、自らも実践しているジェスさん。グルテンフリー、乳製品不使用、腸の健康、植物由来など、食に対する意識が近年非常に高まっているニュージーランドで、これからも身体のことを一番に考えた食を発信していくそうです。