色とりどりに春らんまん、花のお菓子の名品10。
美しさを愛で、一口味わえば春を呼ぶ!
撮影・中島慶子 スタイリング・官野亜海 文・藤森陽子
タケノとおはぎ|春まど
白こしあんで作る繊細な花の姿に驚嘆!芸術的に美しいおはぎ。
新たな素材使いとケーキのように美しい造形でおはぎの新章を切り拓く店。写真は予約制のオーダーメイドおはぎ「春まど」。季節の花々を白いんげん豆のこしあんで巧みに表現。ビーツパウダーなどの自然素材のみで着色し、ドライフルーツが爽やかな酸味を添える。桐箱を開ければ歓声が!
メゾンジブレー|フルール ド ロッソ
“赤い花”という名の華麗でロマンチックなアイスクリームケーキ。
江森宏之シェフによるアイスクリームケーキの専門店。シェフの出身地、栃木産のイチゴとパッションフルーツのシャーベットを花びらのように絞り、ベリーやバラを散らした〝満開〞の一品。シャーベットの甘酸っぱさと中に隠れたココナッツアイスクリームの甘美な共演にため息。
ホレンディッシェ・カカオシュトゥーベ|マルガレーテンクーヘン
バウムの名店で愛される、お日様のように光輝く大輪のマーガレット。
バウムクーヘンで知られるドイツの老舗コンディトライ(菓子店)が作るバターケーキ。マジパンを加えてしっとりと焼き上げ、バニラとバターがふわりと香る生地をアンズジャムで艶やかにコーティング。トップにはマジパンで描いた大輪のマーガレットが花開く!
茂助だんご|桜の串大福
老舗和菓子店の最新作。桜の花をあしらった春らしいお花見だんご。
2色のだんごがわっぱに収まった春の新作。桜のおだんごには桜の花の塩漬けと手亡豆の白あんを合わせた桜あんが、よもぎだんごには十勝産小豆で作る自慢のこしあん入り。ユニークな「串大福」の名は、一般的なだんごの材料である上新粉でなくもち米を使っているから。もっちりした生地と香りの良いあんが絶妙です。
shodai bio nature(ショウダイ ビオ ナチュール)|薔薇色ペタル
ダマスクローズの香りに心満たされる花びらのチョコレート。
可憐な花弁をチョコレートで丁寧に作り上げるその名も「ペタル(花びら)」シリーズ。母の日に向けた限定バージョンはバラがテーマ。自然素材で着色した優美なローズピンクの花びらは、滑らかな口どけとともにブルガリア産ダマスクローズの高貴な香りが立ちのぼる。
INFINI(アンフィニ)|パルファン
バラとベルガモットの豊かなアロマが花開く世にも美しい香りの名品。
金井史章シェフのスペシャリテ。高知産ベルガモットとピンクグレープフルーツの純白のムースの中は、ジャスミンとバラの香りを移したブリュレとイチゴのジュレ。1人前サイズもあるが、「奥出雲薔薇園」のバラをたっぷり散らしたホールタイプは格段の華やかさ。香りとエアリーな口どけで、最後の一口まで夢心地に。
落雁 諸江屋|春は櫻
満開の桜に1匹の蝶がひらりと舞う金沢の春の景色を映した老舗の技。
創業170余年、金沢の菓子文化を伝える老舗菓子司。風流な名を冠したこちらは、桜形の落雁と金沢の伝統菓子「舞鶴」で、その青葉を模した三角形の抹茶煎餅の中には生姜砂糖入り。黄色の蝶が1匹だけ舞っているのが心憎い。うららかな春の野を描写した、打ち物(落雁)の名店ならではの一品だ。
アップル&ローゼス|アップル&ローゼスタルト
信州産りんごで大輪のバラを表現。可憐さに目を奪われる名作タルト。
長野発、不動の人気を誇るりんごタルトの専門店。信州産の「紅玉」「ピンクレディー」という2種のりんごを使い分け、今の季節は「ピンクレディー」を使用。こちらはタルト生地の上に大輪のバラが1輪咲いたタイプ。本物と見まがう花びらを愛で、シャキッとした歯ごたえと柔らかな酸味にウットリ。
帝国ホテル 東京 ホテルショップ「ガルガンチュワ」|カジェット ジョーヌ
春の花で満たした花カゴを表現した瑞々しく胸躍る一品。
〝春の黄色〞の愛らしさよ。国産柑橘類を心地よい酸味のゼリーに仕立て、柔和な甘酒風味のムースで包んだ爽やかな味わい。チョコレート製の外枠はバスケットをイメージし、可憐に咲くエディブルフラワーのヴィオラが目にも鮮やか。隅々まで歴史あるホテルのクリエイションが光る一品!
京菓子司 甘春堂|貝合せ
日本古来の遊びを雅な京菓子に仕上げた春の訪れを告げる銘菓。
平安時代より伝わる遊び・貝合わせを、慶応元(1865)年創業の老舗が趣あるお菓子に。あんは季節により変わり、春に登場するのが桜あん。蛤の貝殻を開くと、葛の中からうっすら透ける桜色が何とも風雅。桜の葉の塩漬けを刻んだあんは、ほのかな塩味と桜の香りがそよぐ。
『クロワッサン』1115号より
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