テーブルの位置を替えたら生まれ変わった、料理家・植松良枝さんの家。
気軽に、気楽に、ときに大胆に。自宅を模様替えした料理家・植松良枝さんの実例を紹介。
撮影・中村ナリコ 文・松本あかね
少しだけ冒険したら、家が生まれ変わった。
テーブルの位置を変えると、部屋に新鮮な風が通ります。
「模様替え自体はよくするほうですが、このダイニングテーブルだけは動かしたことがなかったんです」
植松良枝さんの自宅兼料理教室のダイニングルームには、長さ約3mの天然木のテーブルが鎮座している。
15年前、この家に引っ越す際に木工作家にオーダーしたもので、面積が大きい分、置き方を変えようとは思いもしなかったそう。その固定観念が覆ったのはステイホームの続いたある日のこと。
「来客も減り家族の時間が増えたので、寛いだり子どもが遊ぶスペースを作りたいと思って横向きにしてみたら、ガラッと雰囲気が変わりました。ほかは全く変えていないのに」
心配していた動線も壁側に確保でき、そのことも部屋の空気を変えたようだ。料理教室の生徒たちからも「違う家に来たみたい!」と驚きの声が。
「横にして座ると全員が庭を眺められて、開放感があるんです。縦のときはどちらかというとパブリックな雰囲気ですが、今はこのアットホームな感じも気に入っています」
テーブルの脚に「カグスベール」を貼ってからは一人で動かせるようになり、より自由度が増した。今では縦横両方のレイアウトを楽しんでいる。
「縦のときは大きな枝物を飾って、枝越しの空間のヌケ感を楽しんでいます。昨春は桜の枝を活けて、家の中でお花見もできたんですよ」
今後はより視線がいくようになった庭の刷新を計画中。庭の模様替えも着着と進みそうだ。
『クロワッサン』1090号より