”ガチ中華”の台頭が目覚ましい池袋で楽しむ台湾&中国旅。
撮影・田尻陽子 構成&文・熊坂麻美 地図製作・竹中聡司
池袋で台湾&中国旅
中国人シェフが現地のままの味を供する、通称“ガチ中華”の台頭が目覚ましい池袋西口エリア。
さらにここ数年で中国各地や台湾のご当地料理が味わえるフードコートが3軒出現し、盛り上がりが加速している。
羊肉料理が有名な東北を筆頭に、福建、湖南、湖北などの地方料理が東京中華の潮流。イスラムと中華を融合した新彊(しんきょう)中華、中朝ミックスの延辺(えんぺん)料理、若い世代に人気のド派手系などより細分化しているのも興味深い。
そんなディープムードから一転、台湾素食(スーシー)のおしゃれカフェも静かなブームに。ふり幅広く、本気の料理を味わい尽くそう。
\見つけた!寄り道スポット/
香港誠記(ほんこんせいき)●東京都豊島区西池袋1・43・7 福住ビルB1
●友諠商店(ゆうぎしょうてん)●東京都豊島区西池袋1・28・6 大和産業ビル4F
台湾早餐天国(タイワンザオツァンテンゴク)
●池袋からぶらり散歩がてら週末限定の素食モーニングを。
台湾出身の親子が営むカフェが、週末限定で台湾素食のモーニングをスタート。
素食とは台湾に根付くオリエンタルヴィーガンのことで、肉や魚、ネギやニラなどの香りと刺激の強い野菜・五葷(ごぐん)を使わず調理する。
例えば魯肉飯(ルーロファン)は、揚げた生麩を豚肉代わりにして大根やタケノコで食感を出し、ワンタンの餡は大豆ミートにシイタケやセロリを混ぜて旨みや香りをプラス。
ハーブやスパイスを利かせてしっかり味付けしているから、物足りなさは感じない。朝食の定番、台湾式クレープの蛋餅(ダンピン)と、粽(ちまき)や大根餅、ワンタンスープ、台湾豆乳などを組み合わせて好みのセットを作るのがおすすめ。台南のカフェをイメージした心安らぐ空間で、台湾の豊かな食文化の一端を楽しもう。
●東京都豊島区西池袋3・36・20
TEL.03・5927・8889
営業時間:7時30分~12時(11時30分LO) 土・日曜のみの営業
沸騰小吃城(フットウシャオチーチェン)
●東西南北の料理が一堂に。気楽でコスパ良好、味は一級品。
「友諠食府(ヨーイーシーフー)」「食府書苑(シーフーシュユェン)」に続き、昨秋オープンした最新のフードコート。都内近郊の中華料理店を集めたスタイルではなく、本場の料理人による中国全土10都市以上の小吃(シャオチー)(軽食)が集結。
池袋では珍しいという福建をはじめ、東北や四川・重慶、雲南などの点心や土鍋、串焼き、煮込みが食べられる。赤い看板を掲げたブースが地方ごとに並び、湯気の立ち込めるなかで料理人が腕を振るう姿は臨場感たっぷり。
スマホでメニューを見ながら注文するシステムやフードコートならではの雰囲気は気楽でいて、料理はどれも本格味だ。
「仕込みの途中」などの理由で注文できない料理があるのもご愛敬。2人であれこれシェアしてビールを飲んでも、驚きの価格で楽しめる。
●東京都豊島区西
池袋1・43・7 福住ビル3F
TEL.03・4530・9131
営業時間:11時~23時(22時30分LO) 無休
破店(ハテン)
●内装も料理もエンタメ色濃厚。中国の〝今〞を満喫するならここ。
中国で流行中のサイケなレストランが都内各所に続々進出中。『破店』もそのひとつで、ピンクのネオンに彩られた入り口を進むと、スーパーマリオのフィギュアや戦後の中国をイメージしたレトロな装飾があちこちに。
セルフのたれコーナーには約20種類の調味料が並び、自由な味変を推奨する。
中国東北地方の伝統料理をアレンジしたメニューも個性的で面白い。唐辛子と花椒による麻辣(マーラー)味に氷砂糖で甘みを加えた名物の鍋料理甜麻肥蛤(ティエンマーフィハー)は、しびれる辛さと濃厚な甘さが同居する未知の味わい。
料理長のキョウさんが厨房を仕切り、20年以上のキャリアで培った技と工夫でパンチのある味を作り上げる。一頭買いして店でさばく羊肉のスペアリブや、串焼きも看板料理だ。
●東京都豊島区西池袋1・38・1 池袋YSステージ3F
TEL.03・5904・8678
営業時間:11時~24時(23時LO) 無休
『クロワッサン』1079号より